〔平成17年11月23日(水)日本経済新聞13面記事の要約〕
―有限責任事業組合 LLPの設立相次ぐ 技術・新事業 幅広く―
☆今年八月の法施行を受けてLLPの設立が相次いでいる。
☆出資額ではなく、組合員の貢献度に応じて利益を配分できるLLPは、技術開発や新 サービスなど、幅広い業種で使われ始めた。
☆新事業創出への期待は強いが、資金調達や利益配分など課題は山積みしている
☆LLPは、十月末で100を超えた。組合員間で内部ルールを自由に決め、各自の責 任は出資額の範囲内に限る。出資額が少なくても特異な能力や技術を
持っていれば 対等に事業に参加できる。→専門家が集まりやすい。
☆例:
コンサルティング分野(事業価値研究所:ストックオプションの費用算定、インブルーム: 起業支援・税務相談、アベニールポ
ルテ:趣味・特技を生か す企画・活動)
研究開発分野(エシキャット・ジャパン:時勢代半導体デバイス材料の実用化、さがみ エココーポレーション:風力発電システム開発、アッ
センブリ119:産 業機器部品の加工・販売)
コンテンツ制作(ジャパニメーション・パートナーズ:米国実写映画の加工・販売、バビ ル6:広告や映像の制作)
〔所感〕
①LLPってなあに?
有限責任事業組合のことです。これまでの民法組合は、組合員が無限責任でした。LLPでは、組合員が有限責任です。
②利点は?
1)設立が簡単で安い(銀行への出資払い込み証明や定款の作成が不必要。手続き 費用も登記費用だけ。また出資は1円から可能)
2)取締役・監査役等の期間が必要ありません。
3)LLP自体には課税されず、組合員に収益を分配し、組合員に課税されます。赤字 が出たら、組合員の利益と損益通算できます。
4)内部自治原則により、出資金額ではなく、貢献度に応じて組合員への収益配分が 可能です。
③ディメリットは?
1)何かの契約をするとき各組合員個別との契約を結ぶという煩雑さがあります。
2)土地資産なども、収益とみなされ、所得というキャッシュが発生していないのに、税 金が課される恐れがあります。ですから、極力賃借やリースなどにし
た方がいいで しょう。
3)資金調達の際に金融機関の信用が得られるかどうかは未知数
4)税金面で税務署の見解がいまだ不透明
などがあります。
しかし、米国などでは、4割程度がLLPであり、機動性をいかした事業展開をし、日本経済を活性化するためには欠かせない方法となります。今後日 本でも増加してくるでしょう。
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