非主体的表現

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   組織の中で、「~しなければならない」「~すべきだ」という言葉がたくさん出ているときは気をつけてください。この表現を、非主体的表現といいます。また は、反応的表現といいます。これらの表現方法には、前置きとして「~だから」という言葉がつきます。この「~だから」に踊らされているので「非主体的」、 それに反応していので「反応的」といいます。「私は、こう考えるから、こうしなければならない」「収益環境が悪くなってきたから、他の商品を強化しなけれ ばならない」「昔からこうやっているから、こうすべきだ」などなどです。例えば、SS(ガソリンスタンド)において、ガソリンなどの燃料油以外の商品の収 益を一般的に「油外収益」といいますが、このような表現がよく聞かれます。「セルフが出てきて、マージンが低下したので油外収益を挙げなければならな い」。では、マージンが低下しなければ、油外商品サービスを顧客に提供しなくてもいいのでしょうか。
   非主体的表現がたくさん出ている会社は、義務的になります。会議で幹部が下を向いています。自立人間が育ちません。そして、次にこのような表現が出 てきます。「教えたはずだ」「言ったはずだ」。これを「ハズ管理」といって、最も「ハズかしい」マネジメントといわれています。
 人間には三つの「ち」があります。①血:家族・親族・血統など ②地:土地柄・風土など ③知:知識・経験など。
①血:家族よってしきたりが違うことは結婚してみるとわかりますよね。そこで、自分の考えだけを押し付けてしまっては家庭生活になりえません。
②地:私は福岡出身ですが、東京に行くまで黒い汁のうどんがあることを知りませんでした。大阪では、エスカレータで立つ位置は、右側です。そんなことで、 いちいち「左側に立つべきだ」と東京の人が言っても仕方がないのです。
③知:イトーヨーカドーのの鈴木敏文氏は、「企業の成長を阻害する最大の要因は、過去の成功体験である」とおっしゃっています。人間の経験による頭の固定 化(メンタルロックといいます)ほど、怖いものはありません。

 この三つの「ち」は、ひとりひとりが違います。違うからゆえに出てくる個人個人の固まった既成概念が生まれます。これを「パラダイム」といいま す。それぞれがこのパラダイムをぶつけ合っていては、人間と人間がお互いを高めあうことは絶対にできません。

 人間は他人を変えることはできません。周りを変えようとするのであれば、自分を変える必要があります。つまり、自分のパラダイムを転換することで す。生きていて、これが最も難しいことであり、このパラダイムがゆえに人間は悩みます。

 業種・業界・企業規模にかかわりなく、企業経営成長の真理は、そんなにたくさんありません。そのひとつを申し上げると「結果を変えたければやり方 を変える」「やり方を変えたければ考え方を変える」というものです。この至極単純なことがパラダイムがあるために最も難しいこととなっています。この努力 をせずに、一定の権限を得た上司が、指示命令しても、事業は成長しません。

 非主体的表現を使わないようにして、主体的表現を使ってみてください。「~を実現したい」「~になりたい」「~をしたい」などです。主体性を持っ た人間でないと、成長の目標を決心することができません。

 人口減社会を迎える日本の社会において、ひとりひとりがこの国に付加価値を創造していくためには、主体性のある自立型人間が絶対に必要です。主体 的表現を使い始めると、変化した自分と周りに気づき始めるでしう。

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このページは、宝徳 健が2006年2月 5日 10:27に書いたブログ記事です。

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