イザナギの命は、天照大神様に高天原(天)を、月読の命に夜を、そしてスサノオの 命に海を治めるように命じます。古事記では珍しいのですが、月読はこれ以降出てきません。きっと昔の日本人は、夜を嫌っていたんでしょうね。
さて、海を治めるよう命じられたスサノオですが、いつもしくしく泣いて治めません。イザナギ(以下、失礼ながら会話形式のときはイで)が、 イ 「おまえなにしとんねん(なんて関西弁は使わなかったかと思いますが演出上)」 スサノオ(同じくス)「海なんかいやや、おかあちゃんに会いたいねん」 ス「なんちゅう、わがままなやつや。もうお前なんかいらへんから、出て行け! 勘当じゃあ」とスサノオを追放します。これを「神やらい」と言います。
ス「おとうちゃんに追い出されてしもうた。ワシ、どないしたらええねん。そうや! 天のお姉ちゃんに相談にいったらええんや」 とスサノオは天に 向かいます。スサノオは体が大きくて、歩くたびに振動がして地震が起きます。その地震におびえた天照大神様(同じく天)は、天「あいつ、この国奪いにきよ るんちゃうやろか~」と疑いを持ちます。そして、スサノオに対抗するため、自らも男装で武装し、軍団も用意します。いよいよスサノオがやってきました。
天「あんた、何しに来たん?」 ス「お姉ちゃん、違うんや。疑わんといて。お父ちゃんに追い出されて、どないしたらええかわからへんから、相談に 来ただけやねん」 天「そんなん、信じられるわけないやないか」 ス「どないしたら信じてくれるねん?」 天「そんならウケイして決めよか~」
ウケイというのは、何か大切なことを決めるときに、同時に同じ難しいことをして勝負をつける神事のことです。今回は、子づくりで勝負を決めます。
天「あんたの腰にある十拳の剣(とつかのつるぎ)、ちょっと貸してみ」と言って、剣を三つに割り口に含んで噛み砕き、プッと吹き出します。その時に出来
た子供が、「タゴリヒメノカミ」「タギツヒメノカミ」「イチキシマヒメノカミ」の三人のお姫様です。この三人のお姫様は、福岡県宗像市の宗像大社に祀られ
ています。昔、ここは大陸との海上交易の要所で、戦略上とても重要な地域でした。この海上交易で得たものを瀬戸内海を通じて運ぶのですが、その途中にある
ところにも、イチキシマヒメノカミさまが祀られています。厳島神社です。だから、厳島神社は宗像大社の分社ということになります。正しく言うと、宗像市に
ある宗像大社は、辺津宮といってイチキシマヒメノカミさまが祀られ、その沖合いにある沖ノ島に沖津宮があり、そこにタゴリヒメノカミさま、大島というとこ
ろに中津宮がありそこにタギツヒメノカミさまが祀られています。この3社を総称して宗像大社と言います。日露戦争のときにバルチック艦隊の航行を見つけた
ことでも有名です。
さて、話しを戻しましょう。スサノオは、天照の髪飾りを借りて、口の中で噛み砕いて吹き出すと、5人の男の神様が生まれました。ス「姉ちゃん、ワ イの勝ちやな」天「なに言うてんねん。私の持ち物から生まれたんやから、私の勝ちや」と勝ちを譲りません。
納得できないスサノオは、暴れまくります。田の溝を壊し、食糧倉庫に入っている食べ物を食べ散らし、ウンコを撒き散らします。馬を引きちぎり投げ
まわします。
天「もう、こんなんいやや」と言って、天照大神様は洞窟の中に隠れてしまいます。太陽神が隠れたので、世の中は真っ暗になってしまいました。これを天の
岩戸(あまのいわと)と言います。
困ったほかの神様たちは、相談して、宴会を開きます。そこで、日本発のストリッパーアメノウズメが裸で踊りだします。男の神様たちは「オオッ」と喜び騒
ぎ始めました。
天照大神様は気になり岩の向こうにいる神(以下他)に聞きました。 天「いったい何がおきてんねん」 他「あなた様よりすごい神様がきとるから、みんなで
祝ってんねん」 天「それ誰やねん」と言って、岩を少し明けました。 そこを高天原一番の力持ち「アメノタヂカラノ命」が、ぐーっと戸をあけ切ってしまい
ました。天照大神様が現れたことからまた世の中は光を取り戻しました。
ここからは私見ですが、天照とスサノオは近親相姦で子づくりをしたのではないでしょうか。その出産のとき、産後の肥立ちが悪くて、天照はお亡くな りに、墓に埋められた。ちょうどその時に、日食が起きたのではないでしょうか? なぁんて素人の考え言っちゃだめですね。でも、こういう発想をさせてくれ る楽しさも古事記にはあります。
さて、次回は、高天原で大暴れしたスサノオが天を追放されます。いよいよヤマタノオロチです。知ってるでしょ? 知らないの~???? では、楽 しみに。
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