蒋介石日記

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  蒋介石日記の第4回目です。これは、蒋介石を知らない人でも読めるのでは。やっぱ蒋介石も男だなぁという感じです。

 でも、すばらしい連載記事です。産経新聞の力を感じます。

【平成18年4月20日 産経新聞記事 -4-】
 封印された3人の妻

 1927年(昭和2年)12月1日、蒋介石は上海の教会で、終生の妻となる宋美齢と結婚式を挙げた。
《午後一時、孔邸(孔祥熙宅)で礼服に着替え、三時宋邸に到着。教会でも挙式後、四時に大華礼堂で正式な婚礼を行う。(中略)愛情このときにあり、余は身をどこに置くべきかも知らず》
 興奮は翌日も収まらなかった。二日の日記には、「終日新居で愛妻と抱き合い語らう。新婚の甘さがなにものにも代え難いとはこのことか」とまで書き残している。

 紹介世紀の「新婚」はこれが初めてではない。宋美齢との婚約が調った1927年秋、「申報」などの上海紙に「蒋中正啓事」と題した蒋介石の個人広告が掲載されている。
《ご関心の各位へ。中正(蒋介石の名)、元妻の毛氏と民国十(1921)年に正式離婚。その他二氏とは元来、婚姻関係になく、すでに縁も断っている。家中に二児あるほか妻女はなし。事実無根の風説にはご注意願いたい》(大意)

 この広告が蒋介石に私生活に関するガイドラインとなり、蒋介石の権威が確立されると宋美齢以外の女性関係は封印された。三番前の妻だった陳潔如(1971年に香港で死去)が、英文でまとめた回顧録が台湾で翻訳出版されたのは、李登輝政権下の1992年だった。

 ここで蒋介石に妻を整理しておこう。①毛福梅②姚冶誠③陳潔如④宋美齢の順番となる。
 親同士の合意により、十代で年下の蒋介石に嫁いだ毛福梅は、長男経国を生んだものの1921年に離婚。姚冶誠は芸妓の出で内縁だったというが、陳潔如は 蒋介石の支援者だった大富豪、張静江の媒酌で挙式。回顧録によれば、宋美齢との婚約が内密に固まった後、蒋介石から「五年間の米国留学」を言い渡され、 1927年8月に上海を離れた。

 毛福梅との結婚生活について、蒋介石は青少年期の思い出をまとめた1927年の日記帳に「ああ、余の逆境ここより始まる。(中略)これ中国早婚の悪しき結果なり」と無遠慮に記している。

 それでも、母が死去する1921年まで離婚を待った蒋介石だが、日本留学から戻った1921年から姚冶誠との内縁関係を始め、1919年には新た に陳潔如に求婚している。つまり、1919年から1921年までの間には、同時に三人の女性と婚姻、または交際があったことになる。

 陳潔如に大しては、九今後の日記(1919年19月5日)で、毛福梅との失敗した結婚を「17・8年間もの罪」と呼び、「いま目覚めることができた。もう前車の轍を踏むことはない」とまで書いている。

 四人の妻のはかで、蒋介石が最も多く陰口をたたいたのが、二番目の姚冶誠に対してだ。陳潔如が妻の座を占めたあとも、蒋家とのちのつながらない二男、緯国の面倒を陳と交代でみていたが、新たな妻を迎えた蒋介石への恨みは抑えきれなかったようだ。
《冶誠という女は嫉妬が染みついている。いつも人を不快にしてくれるので、ことさら憂鬱だ》(1922年12月13日)
《冶誠の顔をみるとうっとうしくてたまらない。嫉妬深い女は養い難い。午後の来客は潔如が同席してくれた》(1923年4月12日)

 日記の上で、姚冶誠との関係は1926年の初めまで確認できる。回顧録だと約6年間の結婚を突然打ち切られた陳潔如も修羅場をみせたようだが、さすがの蒋介石も日記で陳をあしざまに書くことはしていない。

 蒋婦人となった宋美齢が、のちの西安事件や対日開戦後の米政府支援獲得で果たした政治的な役割は、蒋介石も予想し得なかったはずだ。陳潔如が夫人 のままであったら、宋子文(宋美齢の兄)の交渉関係が期待できなかったことも含め、蒋介石が冬の西安から生きて南京に戻れたかは疑問かもしれない。

 だが、その歴史論と、妻を次々と捨て去った蒋介石の遍歴評価は別の次元だろう。陳潔如は上海に戻って、中華人民共和国の成立を迎え、周恩来の許諾を得て1961年、香港に移り晩年を過ごした。

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このページは、宝徳 健が2006年5月 4日 10:29に書いたブログ記事です。

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