どの本よりわかりやすいギリシャ神話

| コメント(0) | トラックバック(0)
  前回はヘクトルが負けたところまででした。今回は、その奥さんであるアンドロマケのその後についてです。実際の神話と戯曲でちょっと違うのですが、戯曲の方が面白いので戯曲を書きます。
   この時代、戦利品は勝利軍の武将に分割されます。アンドロマケとその息子を引き取ったのは、アキレウスの息子ピュロスでした。ピュロスは、囚われの 身になったトロイアの女たちを眺めたとき、はじめからアンドロマケがほしくてしかたがありませんでした。彼は、この夫人に心を奪われました。

 ピュロスはアンドロマケを戦利品として自分のものとしましたが、奴隷とはしませんでした。それどころか「どうか自分の愛を受け入れて欲しい。自分 の妻になって欲しい」とプロポーズします。アンドロマケの立場からすれば、申し分のない条件ですが、貞操固いアンドロマケは首を縦に振りません。

 しかし、アンドロマケはヘクトルの忘れ形見である息子アスチュアナクスを立派に育てたいという意志があります。

 アンドロマケの拒絶にあえばあうほど、ピュロスは燃えてきます。そして、こう提案します。「もしあなたが私の愛を受け入れてくれるのならば、アス チュアナクスを私のことして育て上げ、私の貢献の元にヘクトルにも劣らない立派な武将にしてみます。しかし、私の愛を拒絶するならば、アスチュアナクスの 命はありません」

 でもでもでも、ここの複雑な三角・四角関係が存在します。ピュロスには昔から婚約者ヘルミオネがいました。ヘルミネオはピュロスを熱愛しています。またまた、そのヘルミオネに対して、オレステスという勇者が気も狂わんばかりに熱を上げています。

 アンドロマケは、ピュロスの愛を受け入れる決心をします。しかし、彼女の胸中には秘策がありました。ピュロスと二人で神の祭壇に向かい、結婚を誓ったところで自害するつもりだったのです。

 ギリシャの英雄たちは神々への誓いに関してはすこぶる忠実であったので、一度結婚を誓い、夫となったならば、その息子アスチュアナクスを育てる義 務を負います。ヘクトルに対する操と守り、息子をも守るという妻・母としての使命をアンドロマケは命をかけて実行しようとします。

 ところが、ピュロスとアンドロマケの結婚の話を聞いたヘルミオネは、嫉妬に狂い、自分に熱を上げているオレステスをそそのかしてピュロスの暗殺を 謀ります(日本ではこういう場合、相手の女を殺そうとしますが)。そしてこういいます。「ピュロスを殺してくれればあなたの愛を受け入れます」

 結末は・・・。オレステスは結婚の祭壇のところでピュロスを殺します。オレステスの愛を受け入れるとはいったものの、未だにピュロスを愛しているヘルミオネは、オレステスに罵声を浴びせながら悲しみのあまり自害してしまいます。う~ん、難しい・・・。

 ちなみにヘルミネオはトロイア戦争の原因となったヘレネの娘です。ところでそのまた原因をつくったパリスはどこにいっちゃったんだろう???

 面白かったですか?また楽しみにしてくださいね~。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.soepark.jp/mot/mt/mt-tb.cgi/1211

コメントする

月別 アーカイブ

Powered by Movable Type 4.261

このブログ記事について

このページは、宝徳 健が2006年11月 4日 10:04に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「出光興産の理念」です。

次のブログ記事は「入院時の差額ベッド代に注意」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。