ピュロスはアンドロマケを戦利品として自分のものとしましたが、奴隷とはしませんでした。それどころか「どうか自分の愛を受け入れて欲しい。自分 の妻になって欲しい」とプロポーズします。アンドロマケの立場からすれば、申し分のない条件ですが、貞操固いアンドロマケは首を縦に振りません。
しかし、アンドロマケはヘクトルの忘れ形見である息子アスチュアナクスを立派に育てたいという意志があります。
アンドロマケの拒絶にあえばあうほど、ピュロスは燃えてきます。そして、こう提案します。「もしあなたが私の愛を受け入れてくれるのならば、アス チュアナクスを私のことして育て上げ、私の貢献の元にヘクトルにも劣らない立派な武将にしてみます。しかし、私の愛を拒絶するならば、アスチュアナクスの 命はありません」
でもでもでも、ここの複雑な三角・四角関係が存在します。ピュロスには昔から婚約者ヘルミオネがいました。ヘルミネオはピュロスを熱愛しています。またまた、そのヘルミオネに対して、オレステスという勇者が気も狂わんばかりに熱を上げています。
アンドロマケは、ピュロスの愛を受け入れる決心をします。しかし、彼女の胸中には秘策がありました。ピュロスと二人で神の祭壇に向かい、結婚を誓ったところで自害するつもりだったのです。
ギリシャの英雄たちは神々への誓いに関してはすこぶる忠実であったので、一度結婚を誓い、夫となったならば、その息子アスチュアナクスを育てる義 務を負います。ヘクトルに対する操と守り、息子をも守るという妻・母としての使命をアンドロマケは命をかけて実行しようとします。
ところが、ピュロスとアンドロマケの結婚の話を聞いたヘルミオネは、嫉妬に狂い、自分に熱を上げているオレステスをそそのかしてピュロスの暗殺を 謀ります(日本ではこういう場合、相手の女を殺そうとしますが)。そしてこういいます。「ピュロスを殺してくれればあなたの愛を受け入れます」
結末は・・・。オレステスは結婚の祭壇のところでピュロスを殺します。オレステスの愛を受け入れるとはいったものの、未だにピュロスを愛しているヘルミオネは、オレステスに罵声を浴びせながら悲しみのあまり自害してしまいます。う~ん、難しい・・・。
ちなみにヘルミネオはトロイア戦争の原因となったヘレネの娘です。ところでそのまた原因をつくったパリスはどこにいっちゃったんだろう???
面白かったですか?また楽しみにしてくださいね~。
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