でも、この恋は、アフロディテには報われない恋でした。なぜなら、アドニスはあまりにも若すぎて、アフロディテの愛を受け入れることができなかっ たのです。アドニスは、もっぱら狩りに興味がありました。アフロディテは、「あんな恐ろしい猛獣と戦って、万一怪我でもしたら」と心配でなりません。
アドニスに「決して無茶をしてはだめよ。何かあったらすぐに私を呼ぶのよ」とアドニスに伝えています。
ある日、アドニスが、狩りにでかけ、猪と格闘して、死んでしまいました。アフロディテの名前を呼ぶ暇もなかったのです。アフロテディテは「ああ、だれか、お願い、この人の命を返して」
そして、冥界の王のところに行きました。「どうかこの人を生き返らせてください。まだ、こんなに若いのに」 王「それはならぬ。しかし、せめて花の姿に託して、一年のうちに数ヶ月は地上によみがえらせてあげよう」。
ということで、アドニスの血がにじんだ大地の中から細い草の芽が萌たち、すくすくと茎を伸ばし、やがて真紅の花を咲かせました。花は、アドニスその人の
ように可憐であったが、命は短く、風(アネモネ)の息に吹かれてたちまち散ってしまいます。そのはかない散りざまにちなんで、風(アネモネ)の花、つま
り、アネモネと名づけられました。
アフロディテは、アドニスの短い命をはかなみ、花の行方を追いながら涙ぐみまし。其の涙も花となり、バラとなりました。
ところで、アドニスの命を奪った猪は、なんと、狩猟の女神、アルテミスだったのです。アルテミスとアフロディテは仲が悪かったのです。
ふ~、嫉妬というのは神話の時代でも恐ろしいものなのですね。人間って、ぜんぜん変わっていませんね。では、次回は太陽神アポロンとダフネの恋の物語です。面白いでしょ?楽しみでしょ?
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