さて、話は、変わりますが、あるとき、アテネとクレタ島に争いが起きます。このときは、ゼウスがクレタ島に味方して、クレタ島が勝ちます。勝者は敗者に要求ができます。クレタ島は、毎年七人の少年と七人の少女を送るように要求します。
なぜなら、ミノタウロスに与える人間がほしかったからです。彼らを人質にして、ミノタウロスに食べさせようとしたのです。アテネとしてはとても飲める要求ではありません。
そのとき、アテネの王子テセウスは自ら人質を買ってでます。昔の王族は、勇猛さを示さなければならなかったようです。テセウスは人質としてクレタ島に送られました。
さて、クレタ島のミノス王にアリアドネという娘がいました。アリアドネは、クレタ島に送られてきたテセウスに一目ぼれししてしまったのです。こじ きでも、天孫であるニニギノミコトがひとりの娘を見た瞬間、一目ぼれするところがありますが、昔の人間は非常に気持ちがピュアであったため、一目見るだけ で、その人のことが分かってしまうようなのです。今では、ただの軟派にしかなりませんが。まあ、そんなことはいいとして。
テセウスがミノタウロスの宮殿に送られる日が近づいてきました。アリアドネは気が気ではなりません。よしんば、テセウスがミノタウロスをやっつけたとしても、迷宮からの脱出方法は誰も知らないので、そこで朽ち果ててしまうしかないからです。
アリアドネは考えました。「そうだ!」。アリアドネは、迷宮の設計者ダイダロスのもとに走ります。「ダイダロス、お前は、あの迷宮の設計者だ。脱 出する方法を知っているのでしょう?」 ダイダロスは答えます。「なにぶんずいぶん前のことで、また、私自身もわからないくらい複雑に設計したので、わか らないのですよ」。 アリアドネは途方にくれます。 しかし、ダイダロスは、ひとつの妙案を思いつきました。「お姫様、糸玉を持ってはいればいいのでは。 入るときに糸の端を扉のところに結びつけ、糸玉をほどきながら中へ進めば、帰りはその糸をたぐれば出口にたどり着くことができます」
アリアドネは、それはいい考えだということで、ダイダロスにお礼を告げて、テセウスが閉じ込められている部屋へ行き。その案を伝えます。
テセウスは、「なぜ、自分にそのようなことを教えるのか」と聞きました。 アリアドネは、思い切って「あなたが好きだから。人目お顔をみたときから、エ
ロスの矢が私の胸を貫きました」。テセウスも「私も、今、魂をアフロディテの翼に奪われました」と言って、アリアドネの案を受け入れます。テセウスは、
「でも、こんなことをして、あなたは大丈夫なのですか?」と聞きます。アリアドネは「ですから、迷宮から出てきたら、私を連れて、国外に逃げてください」
テセウスは、アリアドネの愛を受け入れます。
さあ、ミノタウロスの迷宮に入る日です。テセウスは言われたとおりにしました。迷宮の中を進むうちに、ミノタウロスが、久しぶりのご馳走の出現に 舌なめずりをしながら、現れました。普段は、ご馳走は震えながらただ食べられるだけなので、ミノタウロスは油断をしていました。テセウスは、その瞬間ま で、震えているふりをしながら、ミノタウロスが近づいてきたときに、鉄拳でミノタウロスの頭を一撃して、怪物の命を奪いました。大成功です。
そして、そして、そして、糸をたぐりながら、他の人質達と迷宮を脱出します。またまた、そして、アリアドネと一緒に国外に脱出したのでした。
さあ、話がこれで終わるはずがありません。しっちゃかめっちゃかになります。その話は後日。楽しみにしてください。
コメントする