これは、ある一定のホワイトカラーには、労働時間の自由裁量を与えようというものです。すると、サービス残業が増えるのではないかという、恐ろしく低俗な議論が出てきています。
仕事はたとえ与えられたことでも、与えられた瞬間に自分の仕事として取り組まないと、非常に無責任になってしまいます。そして、「あの時、こうい われたから、こうした」「だって、そういったじゃないですか」「こうこうこういうことをしてくれなかったから、できなかった」というような言葉が出てきま す。これは、自分にとって、とても不幸です。仕事は自分を鍛えてくれるもの。「言われたとおりにやるのは作業」「言われた以上にやることが仕事」。
また経営者は、このような雰囲気を作り出してしまえば、決して収益向上はしません。このような雰囲気がでないように、日々、マネジメントをすることが一番の仕事となります。
よく経営者が方針などを発表したときに、社員から「協力します」という言葉が出てくることがあります。聞いた瞬間に「ぞっと」します。「やらせる側」「やる側」がはっきりとしてしまいます。
かって、私が勤務した出光興産には、残業手当がありませんでした。働いているとき、この制度にはとても感謝していました。19年間勤めましたが、 会社の仕事と思って取り組んだことは一度もなかったですし、自分の仕事をしているのに、残業手当など要らないと考えていました。今の出光興産には残業手当 があるそうです。残業手当はあってもいいのですが、出光になかった、無用な権利義務関係が出来て、仕事が「人の仕事」にならないよう願っています。
社会全体でこのような風潮をつくってしまっては、この国は強くなりません。
私たちコンサルタントの仕事も、経営者の方々と、一体感をつくるのにいつも腐心します。一定の手法などありません。時間をかけて、社員のマインド作りをすることです。その前に、経営者と私が、そのマインドをもつこと。 いつもいつもこれに挑戦しています。
ホワイトカラー・エグゼプション。こんな言葉はいりません。
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