どの本よりもわかりやすいギリシャ神話

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   さて、いよいよ最終回。時々、番外編で神々の紹介をしますね。
 前回は、オデュッセウスが帰ってきたところまででした。妻はまだ知りません。
 夫のオデュッセウスがトロイア戦争に旅立ってから二十年がたちました。妻の名前はペネロペイア。とても美しい女性です。夫がいない人妻を男共がほおっておくわけがありません。
  男共は、口々に「もうオデュッセウスを思うのはやめなさい。どうか、私の愛を受け入れて欲しい」と求婚します。彼らは、オデュッセウスの宮殿に毎晩 やってきて、ペネロペイアを口説いては、その客間で酒を飲み、ものを食います。その横暴振りはみかねるほどでしたが、女と子供だけの家では強いことも言え ません。前回登場した、オデュッセウスの息子テレマコスが大きくなったときに、「みなさん、ここは父の家です。勝手な振る舞いは許しません。お帰りくださ い」と言いました。

 男共は、ニヤニヤ笑い、「坊や、威勢がいいじゃないか。大人の話し合いに首を突っ込んでも、ろくなことがないぜ。俺たちだけが悪いんじゃなくて、 お前のお袋にも罪はあるんだ。彼女は、みんなに「オデュッセウスは死にました。だが、みなさん、求婚の件は私が父ラエルテスの死衣裳を縫い終わるまでまっ てください。そのとき、どなたを選ぶかをはっきりします」と言ったんだぜ。おふくろさんは、昼間こそ熱心に布を縫っているが、夜になると夢中でほどくん だ。これじゃあ、いつまでたってもできない。お前さんから、どの男がいいか、聞いてくれよ」と、なんとも横柄に言うのでした。

 それどころか。テレマコスを殺す計画まであります。

 そんなときに、テレマコスは父と再会します。

 オデュッセウスは、乞食同然の姿で、懐かしい我が家を訪れました。老犬がオデュッセウスの姿を忘れずにいました。居間の求婚者たちは、この乞食男をののしります。何も知らないペネロペイアは、とうとう断りきれなくなりました。

 「夫のオデュッセウスは、出陣のとき、もし自分が帰らなかったら、テレマコスを立派な息子に育て、そのうえで誰かと結婚するとよい、と言い残して 行きました。無事息子も成人したので、明日みなさんにお返事をします」と宣言し、悲しい顔をしながら自分の部屋に帰ってきました。

 乳母のエウリュクレイアは主人の帰還に気づきました。足を洗うとき、子供時分に猪に突かれた傷跡を見つけたからでした。オデュッセウスは乳母に口止めしました。そしてテレマコスと家の中のいっさいの武器を片付けました。

 翌朝、求婚者たちはペネロペイアの返事を聞きに大挙おしかけてきます。テレマコス暗殺計画も消えていません。

 ここで、ペネロペイアは、オデュッセウス家秘蔵の弓を取り出してきました。「この弓を引けることができた人と結婚します」 ものすごい、大弓で誰 も引くことができません。結局オデュッセウスがこれを引き、「われこそ、この家の主、オデュッセウスだ」と名乗り、たちまち客人たちを殺しました。

 ペネロペイアは、オデュッセウスは不埒な客人たちをやっつけているときは、別室にさがっていましたが、乳母から真相を知らされます。「まさか・・・・・・・」

 絶句しましたが、ペネロペイアも賢く冷静な人です。いきなり抱き寄せようとした夫の手を振り払い、「オデュッセウス手製のベッドをここの運んでちょうだい」と乳母に命令します。
 これは、わなでした。オデュッセウスは笑って、「あのベッドはオリーブの木に造りつけたものだから、動かすことはできない」。と夫婦だけが知っている秘 密を告げました。ペネロペイアは初めて微笑み、夫の胸に飛び込みました。「あなた、おかえりなさい」 その夜のことは推して知るべし。

 さてさて、長いシリーズを読んでいただきありがとうございました。心より感謝申し上げます。次のシリーズもかわいがってください。

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このページは、宝徳 健が2007年2月 5日 03:30に書いたブログ記事です。

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