竹中平蔵氏講演会

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  平成19年1月30日にホテルニューオオタニ大阪で行われた講演会の内容です(続き)
 今回は、日本経済についてです。
  1980年代に日本のGDP(国内総生産)は4.5%程度の成長であった。それが、失われた10年間といわれた1990年代は、1%成長であった。
 そのときに誤った政策を行った。130兆円の追加経済対策(公共工事等)を行ったのである。バブルがはじけて不良債権と言うガンに侵されている日本を、栄養剤を打って治そうとしたのである。それも、130兆円というとてつもない金額の栄養剤である。

 東京23区の建物すべてを建て替えても80兆円ぐらいにしかならない。おそらく、東京23区と大阪の建物をすべて建て替えるぐらいのすさまじい金額である。そのお金はどこから徴収したか、それは、私たちの子供と孫からである。

 そんなに巨額なお金をつぎ込んだにもかかわらず、1%の成長しか実現できないほど、日本の経済は病におかされていた。

 だから、構造改革が必要なのである。この7年間は2%強の成長である。構造改革が評価できる。

 ただし、まだ、退院したばかり。メダルがすぐにとれるわけではない。もっと基礎体力をつけないと日本経済は真からつよくならない。また、この間に、中国などがものすごい力をつけてきた。彼らと戦う力が必要(中国のGDPは10年前は、日本の1/10、今では4割)

 しかし、未だに日本の経済は鉄鋼と自動車の好調に引っ張られている。引っ張られて入るものの、トヨタの従業員一人当たりの企業価値(株価総額/従業員)は、グーグルの1/10である。

 したがって、新しい分野をつくり出す必要がある。

 今の状況は10年前のアメリカと似ている。10年前のアメリカはニューエコノミーとう言葉が出てきた。それまでアメリカの成長率は 2.0~2.5%であった。しかし、このころから、ニューエコノミーが唱えた考え方によると、3~3.5%の成長率があるのではないかということであっ た。

 理由は、以下の3つ
①平和の配当
 戦車や駆逐艦は経済の広がりを生まない。その戦争に使っているコストを経済に使うとすると成長率はもっと向上するのではないか(潜在成長率)。
②IT革命
 申し上げるまでもない
③改革の配当
 改革することで出てくる成長率

 以上のことを考えると、平和の配当はないが、日本にもできることがある。特に、改革の配当をつくり出すことができる。例として、東京でも大阪で も、中央郵便局が駅前の一等地にある。配送手配をするだけの場所があんな一等地にあることがおかしい。別の事業に投下することで、大きな生産性向上が見込 まれる。

 安部内閣からはその意識(パッション)は感じられる。しかし、正しいことをすることは容易なことではない。その一つが格差との戦いである。

 格差というものが、構造改革への抵抗概念として出てきてしまっている。これはおかしい。
 そもそも、格差には、以下のふたつがある。

①社会主義的格差論(所得の高い人がいることを問題視する考え方。右翼も一緒)
②資本主義的格差論(所得の低い人が出来てしまうことを問題視する考え方)

 社会主義的格差論を論じるのはいい。社会主義的格差論を議論することはおかしい。かつて、英国首相のサッチャーが言った言葉がある「金持ちを貧乏人にしたところで貧乏人は金持ちにはならない」

 資本主義的格差論の貧困問題を国の問題としてとりあげ大いに議論すべきである。そもそも、日本の貧困層の割合と原因が分からない。対策を立てる前 にこれを調査すべき。貧困調査というのは、世界のどこの国でもしたことがない。ただし、欧米よりも大きくないことは確かであるので、貧困問題に税金を投入 してもたいした金額にはならないだろう。

 貧困は、フロンティアが広がるときにはどうしても出てくる。だからこのケアとして安部首相が言う、セーフティネット問題が必要となる。

 次回は、最終回です。今後の課題と安部内閣への提言です。
 抵抗勢力が形を変えて言っている格差問題はなんの意味もない。

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このページは、宝徳 健が2007年2月 9日 06:26に書いたブログ記事です。

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