1.軍争は利となり、衆争は危となる。
みんなが一体となって利を争うなら有利になる。みんなが好き勝手に利を争うなら、危機となります。
あったりまえの話ですが、経営がうまくいかないケースがこればかりです。衆争をほおっておいて、ノウハウに走る。危険です。
2.軍を挙げて利を争えば、及ばず。軍を委(す)て利を争えば、輜重(しちょう)を損なう。
補給部隊は足が遅いので、全軍でこぞって有利な地点をめざせば、敵に先をこされてしまう。かといって精鋭だけで急行すれば、補給部隊が置き去りにされます。
ボトルネックということばがあります。A、B、Cという部門(または人)があるとします。AとBが100の能力を持っていても、Cが30の能力しかない
とすると、企業は30の力しか発揮できなくなります。Cの改善に全力を挙げることが課題となります。なのに、Cをほおっておくケースが多いのです。
3.輜重なければ亡び、糧食なければ亡び、委積なければ亡ぶ
補給がないと滅びる、食料がないと滅びる、物質がないと滅びる
漢の高祖劉邦よりも、項羽の方が強く、ほとんど項羽が勝利していました。しかしながら、劉邦にはしょうか(字を忘れました)という、天才的な兵站能力
(食料・武具の補給能力)をもった人材がいて、一度も劉邦軍を飢えされることがなかったのに比べ、項羽軍はいつも兵站に悩んでいました。結果、劉邦軍が勝
利し、漢の国ができます。裏方を大切にしようということです。
4.郷導(きょうどう)を用いずば、地理を得るにあたわず。
ガイドを使わないと、地の利を得られない。
戦には、地理人情を熟知することが不可欠です。あれだけの天才であった諸葛孔明も、魏の地理を熟知していなかったため魏をほろぼすことができませんでした。
5.兵は詐を以って立ち、利を以って動き、分合を持って変となす。
戦争は、敵をだますのが基本であり、こちらの利益になるように動き、状況に応じて分散したり、集合したりして変化を出すものだ。
この変化を出すために、日ごろから将兵を訓練する必要があります。状況によって、あり方をコロコロ変えることが大切です。
6.此れ軍争の法なり。
10個の主導権を握る方法を説いています。武田信玄の風林火山もここから出ています。
①行動するときは、風のようにすばやく
②待機するときは、林のように静かに
③攻撃するときは、火のようにすさまじく
④布陣するときは、山のようにどっしりする
⑤潜行するときは、闇のように見えなくする
⑥侵攻するときは、雷のようにいきなりする
⑦各地に部隊を行かせて、食料を集める
⑧要所に部隊を配置して占領地を守る
⑨有利であるとわかってから動く
⑩ピンチをチャンスに変えるコツがわかっている
7.あい聞こえず、故に之(これ)が金鼓(きんこ)を為(つく)る。あい見えず、故に之が旌旗(せいき)を為る。
戦場にちらばると、互いの声が聞こえないので、ドラや太鼓を使って合図を出す。たがいの姿が見えないので、細長い旗や四角い旗を使って合図を出す。
みなに伝わる合図が大切です。コミュニケーションですね。
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