経営者必見!六韜三略:竜韜

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   孫子の兵法に「彼を知り、己を知らば百戦危うからず」とあります。相手を知らないと、勝手なことをしてしまいます。自分を知らないと無謀なことをしてしまいます。
 今回は、兵徴篇です。敵情を視察する方法を武王が太公望にたずねます。経営に応用するとすれば、最後の「気」のところは、現代の私たちにはわかりにくいのですが、それまでの表現をみて、自社がどのような常態かを検証することはよいでしょう。では、お楽しみください。

武王(以下、武)「戦いを交える前に、敵の強弱を察知して勝敗を判断する手がかりを得たいと思うが、どうすればいいか」

太公望(以下、太)「勝敗の前兆は、なによりもまず精神に現れます。ですから名将は、慎重にそれを見極めるのです。そのためには、人間を見なければなりません。そこで、敵側の動きに目を光らせ、その動静や言語、吉凶、さらには兵卒の会話などを注意深く観察する必要があります。
 全軍が喜びにあふれ、兵卒は法を恐れ、将の命令に喜んで従う。互いに敵を破ることを楽しみにし、夕刊であることを誇りにし、武勇をたたえあっている。これは、その軍が強いことをあらわしています。
 全軍がしばしば動揺し、兵卒にもまとまりがない。敵は強い、味方は不利だといった情報が語り合われ、あやしげな流言がとびかって、互いに疑心暗鬼におちいっている。兵卒は法を恐れず、将をバカにしている。これはその軍が弱いこと現しています。
 全軍がよくまとまり、陣形は堅固で、堀も深く城壁も高い。そのうえ、風雨にも有利に作用し、全軍に事故もない。旌旗(せいき)は先頭にひるがえり、鉦(かね)の音が清く澄み、鼓の音も美しく響く。これは、神明の助けを得て大勝することをあらわしています。
 これに対して、隊伍も陣形もまとまりがなく、旌旗も乱れている。風雨も不利に作用し、兵卒は恐れおののいて、気力もすでに失せている。軍馬にも落ち着きがなく、戦車の車軸は折れたまま。鉦の音は濁って低く、鼓の音は湿って響きが悪い。これは、大敗することをあらわしています。

 さらに、城を包囲したときには、城の気を観察しなければなりません。
 城に立ちこめる気が、灰のようであれば、一気に攻略することが出来ます。北に向かって流れていれば、攻め取ることができます。西に向かって流れていれば、降服させることができます。しかし、南に流れているときは落とせませんし、東に流れているときは、攻撃を見合わせなければなりません。また、いったん出た気が元にもどるのは、城主が逃亡する徴(しるし)です。流れ出てわが軍の上を覆うのは、わが軍に病人が出る徴であり、どんどん高く昇っていくのは、戦いが長引く徴です。包囲して十日たっても、雷も鳴らず雨も降らないときは、速やかに撤退しなければなりません。なぜなら、そういうときには、必ず援軍が現れるからです。
 要するに、情況をよく判断し、攻めるべきときには攻め、攻めてはならないときには攻めない。これが肝心なのです」

武「よくわかった」

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このページは、宝徳 健が2007年5月28日 04:45に書いたブログ記事です。

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