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今日も吉田松陰の歌を紹介します。
親思ふ こころにまさる 親心 けふの音づれ 何ときくらむ
吉田松陰は安政六年十月二十七日に亡くなられました。その刑死の一週間前に、江戸の獄中から、萩の父、叔父、兄へ宛てた手紙の中に含まれていた一首
です。前書きには、「平生の学問浅薄にして至誠天地を感格する事出来申さず、非情の変に立到り申候。さぞさぞご愁傷も遊ばさるべく拝察仕察り候」と書いて
有ります。
「親思ふ」というのは「子が親を思う」という意味です。断ちがたい肉親の絆も振り切らねばならないときがある。そういう悲劇的な人生というものが 胸に迫ってきます。
松陰は、十月二十五日未明から二十六日の夜にかけて遺書を書きました。それは「留魂録」と名づけられています。この遺書は、松陰の刑死後三日目に 三宅島に流罪となった、沼崎吉五郎という人が、ふんどしに隠して出獄しに十数年保存し、明治九年になって、当時の神奈川県令、野村靖に渡されたものです。 ものすごいことですね。かつての日本人のパワーを感じます。
では、今日の拙首です。
できることを やらぬ自分を ふりかえり バカさかげんに ただあきれるのみ
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