この貞観政要のテーマは「守成は創業より難し」です。事業承継のテーマにぴったりですね。
今回は「内挙には親を避けず、外挙には讎(しゅう)を避けず」です。
「私は今、なとしても人材を探し出して政治の安定をはかりたいと思い、すぐれた人物がいると聞けば、すぐさま抜擢登用をはかっている。ところが、口
さがない者どもは、「近ごろ登用されている連中は、いずれもご重臣方の縁故によるものだ」と語っているという。どうかそちたちは、なにごとも公平を旨と
し、このような批判があるからといって、推挙をためらわないで欲しい。
古人も「親しい身内だからといって推挙をためらってはならない。ふだん仇敵のように嫌っている相手でも推挙をためらってはならない」と語っている。それ
はほかでもない、どんな間柄でもすぐれた人材でありさえすれば構わないということだ。どうか、これぞと思う相手がいたら、自分の子弟であろうと仇敵であろ
うと、遠慮なく推挙してほしい」
【所感:宝徳(これは私見です)参考の本とはまったく違う解説です。】
身内の推挙というのは、中小企業ではよくあります。しかし、益よりも害が多いのも事実です。身内の人間というのは、他の社員の3倍も4倍も働いて成果を
あげて、はじめて、周りが認めます。身内だからといって努力しない人間は避ける必要があります。もちろん、優秀な身内はどんどん使うことが大切です。
一方、外挙は、日本の企業ではあまりありませんね。オバマ大統領がクリントンを国務長官にしたようなものでしょう。お気に入りばかりを周りに集めると、必ず組織の沈滞を招きます。
諸葛亮孔明のことを紹介した記事を載せておきます。
「誠実な仕事ぶりで人民の利益をはかった者には、意見の対立した者でも厚く賞し、法を犯したり職務を怠ったりした者は、親族であっても必ず処罰し た。進んで罪を認めて反省した者は、重罪であっても必ず許し、言葉巧みに言い逃れようとする者は、軽罪でも必ず処罰した。善行は些細なことでも顕彰しない ことはなく、悪行は微小なことでも処分しないことはなかった。かくて国中の人々から畏れられながら、同時に愛された。厳しい政治を行ったにもかかわらず、 怨む者がなかったのは、彼の配慮が公平で、賞罰が厳正だったからである」
諸葛亮孔明が亡くなった時、彼に罰せられた人たちまで涙したそうです。
経営にも政治感覚が必要ですね。
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