戦国策

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 中国古代、戦国時代のことを書いた戦国策を紹介しています。外交や交渉術に最適の本ですね。今日の内容もそうです。
 秦の臣下が秦の昭王(しょうおう)に言上しました。

「あなたの家臣には、他国に行って政治工作にあたる者がおりません。明君は信頼する家臣を諸侯のもとに送り込み、その情報をもとに政策を決めると申します。あなたは、魏の三つの土地を望んでいます。ひとつ私を魏に遣わしてください。それらの土地を献上させるように工作しましょう」

 昭王はそれを認めて、この家臣を魏に派遣しました。

 この家臣は魏の王に説きました。

「あなたが秦との間でご心配になる土地は、上地(ちめい)ですが、秦が望んでいるのは別の三つの土地です。いっそのことこの三箇所を秦に与えてください。そうすれば上地は安泰です。その上で、秦の兵をかりて斉を攻める。こうすれば与えた土地よりも多くの領土を奪えます」

 魏王は、納得して三箇所の土地を秦に献上しました。ところが、数ヶ月経っても秦は塀を出しません。魏王はこの秦の家臣に問いただしました。すると家臣が言いました。

「私の失敗は死罪に相当します。しかし、私が死んでは、秦をとがめる証拠がなくなります。お許しくださるなら秦の違約を責めて参ります」

 この男は、秦の昭王に言いました。

「魏が三つの土地を献上したのは、秦の兵を借りて東の斉を攻めたいからです。土地は献上したのに、兵は出してもらえないとなると、私は死ななければなりません。それはともかく、もう、どの国も秦の言うことを聞かなくなりますよ」

 昭王は驚いて、塀を出しました。秦・魏の連合軍は二十二県を手中に収めました。

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このページは、宝徳 健が2010年1月 8日 06:00に書いたブログ記事です。

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