貞観政要

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 初心を忘れた太宗に対する魏徴の諫言が続きます。
「即位された当初は、のどの渇いた人間が水をほしがるように、熱心に人材を求められました。そして、しかるべき人物が推挙した相手は、信頼して登用されたうえ、彼らの長所を引き出すように努められ、それでもまだ配慮が欠けているのではないかと案じておられました。ところが近年、陛下の好き嫌いの感情が目立つようになりました。皆の者がこれならと推挙して登用した人物でも、たった一人が非難しただけで、すぐに辞めさせてしまいます。また、長年信頼して任用してきた相手でも、一度疑っただけですぐに遠ざけてしまいます。

 そもそも人物を評価するには、ふだんの行いと仕事の実績を見る必要があります。その人物を非難する者の発言が、推挙した者の言うことよりも信用できるとは限りません。長年積上げてきた実績をたった一人の非難で失わせるようなことは、すべきではありません。君子は仁義を実践して大いに徳を広めようとしますが、小人はとかく上の者にへつらって身の安全をはかろうとします。陛下は根本のところを確かめもせず、表面だけを見て人物のよしあしを決めておられます。その結果、正道を守る人間が退けられ、能力も無いのに地位だけほしがる人間が幅をきかすようになりました。これでは臣下としても、責任逃れを事として、仕事に身を入れなくなってしまいましょう。

 これが有終の美を飾れないことの六つ目であります」

 ほんとうに勉強になります。

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このページは、宝徳 健が2010年2月20日 05:44に書いたブログ記事です。

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