このシリーズは右のカテゴリー「戦国策」に格納されています。
古代中国、戦国維持代の7つの国の外交・内政・軍事のことについて書かれた「戦国策」を不定期に掲載しています。
驚くことに欧州には、ナポレオンの時代でさえ兵法というものがなかったそうです。だから、ナポレオンもやたら兵隊を殺していますものね。アングロサクソンを中心とした彼らは、ただ科学技術が先に発展しただけです。物事の考え方や人との接し方は、確実に東洋(今の中国とかは除いてください)の方が進んでいました。私たち東洋人が世界の中心になっていたら、もっとよい世の中になっていたでしょうね。でも、相変わらず、西洋の物にあこがれる風潮があるようです。
この戦国策はとても面白いですね。では、引き続き「韓」の国を紹介します。弱小国「韓」は強国の態度に一喜一憂し、外交の成否に運命をかけざるをえませんでした。襄王(じょうおう)の時代、楚の攻撃を受けました。さっそく秦に援軍を要請したのですが・・・。
古代中国、戦国維持代の7つの国の外交・内政・軍事のことについて書かれた「戦国策」を不定期に掲載しています。
驚くことに欧州には、ナポレオンの時代でさえ兵法というものがなかったそうです。だから、ナポレオンもやたら兵隊を殺していますものね。アングロサクソンを中心とした彼らは、ただ科学技術が先に発展しただけです。物事の考え方や人との接し方は、確実に東洋(今の中国とかは除いてください)の方が進んでいました。私たち東洋人が世界の中心になっていたら、もっとよい世の中になっていたでしょうね。でも、相変わらず、西洋の物にあこがれる風潮があるようです。
この戦国策はとても面白いですね。では、引き続き「韓」の国を紹介します。弱小国「韓」は強国の態度に一喜一憂し、外交の成否に運命をかけざるをえませんでした。襄王(じょうおう)の時代、楚の攻撃を受けました。さっそく秦に援軍を要請したのですが・・・。
韓のある地方が楚軍に包囲されました。使者はつぎつぎと秦に向かいました。それでも秦は韓との国境から出撃はしません。そして五ヶ月が過ぎました。
韓は、秦に使者を送って救援を求めました。使者はつぎつぎと秦に向かいました。それでも秦は出撃しません。韓はさらに有能な使者を送りました。その使者は秦の昭王に説きました。
「秦と韓は一心同体の関係にあります。韓は今、楚に苦戦していますが、秦は出撃してくれません。『唇つくればその歯寒し』とか申します。どうかその辺をお考え下さい。
実権を握っている昭王の母、宣大后(せんたいこう)は、それを聞いて言いました。
「韓からの使者は多いが、なるほどと思わせたのは初めてじゃな」
使者を招き入れました。
「ご先代にお仕えしたときのこと。股(もも)を体にのせられると苦しくてたまりませんでした。でも体ごとあずけられると、その割には重く感じませんでした。それというのも、よけいにごほうびをもらえたからです。韓を救うには、秦としても軍糧を徴発し、兵力を増強しなくてはなりません。一日に千金もかかるのです。私としても少しは分け前がほしいのですよ」
使者は帰国して、襄王にこのことを告げました。さらに、別の有能な使者を秦に向けました。その使者は、病気を口実に、一日にほんの少しだけ、車を進めました。やっとのことで秦の都に着いた使者に、秦の宰相が言いました。
「韓もいよいよ危うくなりましたな。病気のご使者がおいでになるとは」
使者は言いました。
「危ういことはありません。危うくなりかけているところです」
宰相は言葉を続けました。
「秦は各国の情報に事欠かない。韓の情勢もよくわかっておりますぞ。そんなのんきなことをおっしゃっていていいのですか?」
使者は答えました。
「危うくなれば楚に降伏します。私もわざわざ出向いてきません」
宰相は、秦王に言上しました。
「韓の宰相は秦の援軍をあてに楚と戦っています。楚に包囲されたのに、秦は出撃しません。韓は見殺しです。韓の宰相は負け戦を恥じて秦と手を切ろうとしますし、楚と手を結ぼうとしています。楚と韓が手を結べば、魏もそれに加わりましょう。楚は、三カ国を連合して秦にあたろうとします。そうなれば秦と対抗する連合勢力が形成されます。いったい、漫然と相手の攻撃を待つのと、こちらから先制攻撃をかけるのと、どちらが得策でしょうか」
秦王は出撃命令を出し、韓を救いました。
「唇つくればその歯寒し:唇と歯のように利害関係が密接なこと。切手も切り離せない関係。唇歯輔車(しんしほしゃ)ともいいます」
この外交力はすごいですね。アメリカ、中国、ロシアという大国に挟まれた日本に、外交力は必須です。
韓は、秦に使者を送って救援を求めました。使者はつぎつぎと秦に向かいました。それでも秦は出撃しません。韓はさらに有能な使者を送りました。その使者は秦の昭王に説きました。
「秦と韓は一心同体の関係にあります。韓は今、楚に苦戦していますが、秦は出撃してくれません。『唇つくればその歯寒し』とか申します。どうかその辺をお考え下さい。
実権を握っている昭王の母、宣大后(せんたいこう)は、それを聞いて言いました。
「韓からの使者は多いが、なるほどと思わせたのは初めてじゃな」
使者を招き入れました。
「ご先代にお仕えしたときのこと。股(もも)を体にのせられると苦しくてたまりませんでした。でも体ごとあずけられると、その割には重く感じませんでした。それというのも、よけいにごほうびをもらえたからです。韓を救うには、秦としても軍糧を徴発し、兵力を増強しなくてはなりません。一日に千金もかかるのです。私としても少しは分け前がほしいのですよ」
使者は帰国して、襄王にこのことを告げました。さらに、別の有能な使者を秦に向けました。その使者は、病気を口実に、一日にほんの少しだけ、車を進めました。やっとのことで秦の都に着いた使者に、秦の宰相が言いました。
「韓もいよいよ危うくなりましたな。病気のご使者がおいでになるとは」
使者は言いました。
「危ういことはありません。危うくなりかけているところです」
宰相は言葉を続けました。
「秦は各国の情報に事欠かない。韓の情勢もよくわかっておりますぞ。そんなのんきなことをおっしゃっていていいのですか?」
使者は答えました。
「危うくなれば楚に降伏します。私もわざわざ出向いてきません」
宰相は、秦王に言上しました。
「韓の宰相は秦の援軍をあてに楚と戦っています。楚に包囲されたのに、秦は出撃しません。韓は見殺しです。韓の宰相は負け戦を恥じて秦と手を切ろうとしますし、楚と手を結ぼうとしています。楚と韓が手を結べば、魏もそれに加わりましょう。楚は、三カ国を連合して秦にあたろうとします。そうなれば秦と対抗する連合勢力が形成されます。いったい、漫然と相手の攻撃を待つのと、こちらから先制攻撃をかけるのと、どちらが得策でしょうか」
秦王は出撃命令を出し、韓を救いました。
「唇つくればその歯寒し:唇と歯のように利害関係が密接なこと。切手も切り離せない関係。唇歯輔車(しんしほしゃ)ともいいます」
この外交力はすごいですね。アメリカ、中国、ロシアという大国に挟まれた日本に、外交力は必須です。
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