このシリーズは右のカテゴリー「どの本よりわかりやすい南総里見八犬伝」に格納されています。
みなさん、水滸伝はお読みになられたことがありますか?この南総里見八犬伝は水滸伝の影響を強く受けています。水滸伝は、百八の魔星が飛び散り、それが梁山泊に集まった百八の英雄豪傑になりました。八犬伝では、伏姫のおなかから飛び散った八つの玉です。さあ、あと二つの玉はいつ出てくるのでしょうか。
仁:犬江親兵衛(いぬえしんべえ) 犬田小文吾の妹ぬいの子供
義:犬川荘助(いぬかわそうすけ) 大塚村で蟇六・亀篠夫婦に雇われていた額蔵
礼
智
忠: 犬山道節(いぬやまどうせつ) 浜路の兄。不思議な行者。
信:犬飼現八(いぬかいげんぱち) 大塚村の信乃の隣に住んでいた糠助の子供。古河で、 信乃と対決して一緒に行徳に流れていった。
孝:犬塚信乃(いぬづかしの) 大塚村の番作の子供 浜路の許婚
悌:犬田小文吾(いぬたのこぶ んご) 行徳の旅籠屋の息子
えっと、小文吾が襲われたのを誰かが助けて、そのとき、人影があったところまででしたね。
みなさん、水滸伝はお読みになられたことがありますか?この南総里見八犬伝は水滸伝の影響を強く受けています。水滸伝は、百八の魔星が飛び散り、それが梁山泊に集まった百八の英雄豪傑になりました。八犬伝では、伏姫のおなかから飛び散った八つの玉です。さあ、あと二つの玉はいつ出てくるのでしょうか。
仁:犬江親兵衛(いぬえしんべえ) 犬田小文吾の妹ぬいの子供
義:犬川荘助(いぬかわそうすけ) 大塚村で蟇六・亀篠夫婦に雇われていた額蔵
礼
智
忠: 犬山道節(いぬやまどうせつ) 浜路の兄。不思議な行者。
信:犬飼現八(いぬかいげんぱち) 大塚村の信乃の隣に住んでいた糠助の子供。古河で、 信乃と対決して一緒に行徳に流れていった。
孝:犬塚信乃(いぬづかしの) 大塚村の番作の子供 浜路の許婚
悌:犬田小文吾(いぬたのこぶ んご) 行徳の旅籠屋の息子
えっと、小文吾が襲われたのを誰かが助けて、そのとき、人影があったところまででしたね。
「誰だ」と小文吾は言いました。
そこにはあの踊りを踊っていた旦開野(あさけの)がいるではありませんか。小文吾はまた言いました。
「いつか顔をみただけで話をしたこともないのに、女だてらに夜中に垣根を越えて忍んできたとは、どういうわけだ」
旦開野(あさけの)は恥らいながら言いました。
「何という野暮なお尋ね。あなたの仇をしとめたことでもおわかりでしょう。話さずとも深い想いを知らぬとはあまりにも薄情な。とてもかなわぬ恋ならば、せめてあなたの手にかかって死のうと覚悟をしてきたのを不憫にお思いにはなりませぬか」
小「今は罪なくて囚われている身。恋などしているひまはないわ。そなたのいうのは本心ではなく、ひそかに人に頼まれておれをたぶらかそうというのだろう」
旦「敵を討ったのはだれでございましょう。わらわの誠が届かぬなら、すぐに殺してください」
小文吾は切ろうとしましたが、旦開野(あさけの)が、うなじを伸ばして、手を合わせてすわったままのなので、刀を鞘におさめました。
小「そなたの気持ちはよくわかった。が、おれの身には危険が迫っていて、添うの添わぬのどころではない。さあ、さっさとお帰り」
旦「殺されるのを待つより、二人で逃げましょう。明日の夜には必ず城門出入りの切手を手に入れます。万事用意してお待ちになってください。話したいことはいくらでもございます。ただ、明日の夜を待ちたまえな。では」
旦開野(あさけの)は、熟練した田楽の技を見せてひらりと松の木に手をかけて、向こうの庭に降りたと思うと、もう姿はありませんでした。
二人の運命やいかに。つづく。
そこにはあの踊りを踊っていた旦開野(あさけの)がいるではありませんか。小文吾はまた言いました。
「いつか顔をみただけで話をしたこともないのに、女だてらに夜中に垣根を越えて忍んできたとは、どういうわけだ」
旦開野(あさけの)は恥らいながら言いました。
「何という野暮なお尋ね。あなたの仇をしとめたことでもおわかりでしょう。話さずとも深い想いを知らぬとはあまりにも薄情な。とてもかなわぬ恋ならば、せめてあなたの手にかかって死のうと覚悟をしてきたのを不憫にお思いにはなりませぬか」
小「今は罪なくて囚われている身。恋などしているひまはないわ。そなたのいうのは本心ではなく、ひそかに人に頼まれておれをたぶらかそうというのだろう」
旦「敵を討ったのはだれでございましょう。わらわの誠が届かぬなら、すぐに殺してください」
小文吾は切ろうとしましたが、旦開野(あさけの)が、うなじを伸ばして、手を合わせてすわったままのなので、刀を鞘におさめました。
小「そなたの気持ちはよくわかった。が、おれの身には危険が迫っていて、添うの添わぬのどころではない。さあ、さっさとお帰り」
旦「殺されるのを待つより、二人で逃げましょう。明日の夜には必ず城門出入りの切手を手に入れます。万事用意してお待ちになってください。話したいことはいくらでもございます。ただ、明日の夜を待ちたまえな。では」
旦開野(あさけの)は、熟練した田楽の技を見せてひらりと松の木に手をかけて、向こうの庭に降りたと思うと、もう姿はありませんでした。
二人の運命やいかに。つづく。
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