カウンセリングの技術

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 このシリーズは右のカテゴリー「心理学」に格納されています。

 カウンセリングには三段階がありました。

①リレーションをつくる
②問題の核心をつかむ
③適切な処置をする

 リレーションを作るために「受容と支持」が必要でした。問題の核心をつかむために「繰り返し」「明確化」「質問」を勉強しました。

 今は、③適切な「処置」を勉強しています。前回まで、処置の中の「ケースワーク」でした。今回から、同じく「処置」の中の「スーパービジョン」です。

 世の中には、人柄はよいのに苦労する人がいます。たとえば、姑に会えばすごくいい人だ、嫁に会うとこれまた感じの良い人だ。しかし二人の仲はよくない。こんなことがよくあります。また、上司は部下思いの誠意ある人だ。部下は部下で有能な青年である。しかし、二人の仲がしっくりいかない。そんなこともあります。

 こういう場合に、それぞれの当事者の接し方、遇し方(スキル)が下手なのではないかと想定できることがあります。そのとき、その貧弱なスキルを指導するのがスーパービジョンです。カウンセラーが個人としていくら健全なパーソナリティでもクライエントの扱い方が下手だと治癒しません。そこで、普通はスーパーバイザーからスーパービジョンを受けます。つまり、スキルの個別教育を受けるのです。

 あるカウンセラーの経験談です。

 祖母と仲の悪い女子高校生が相談に来ました。「宿題はしたか。ピアノは練習したか」と祖母がやかましいので絶えずけんかしている。利口な母は、祖母と衝突したくないので職をもって家を留守にしています。

 そのカウンセラーは、このようなスーパービジョンをしてみました。「おばあちゃんが口うるさいのは不安があるからです。だから、おばあちゃんの不安をとってあげればいいんだよ。今から、私の言うことを二ヶ月実行して、その結果を報告に来ること。『おばあはん、今から宿題するよ』と声をかけてから宿題をすること。宿題がすんだら『おばあちゃん、宿題済んだよ』と報告すること。ピアノについても、掃除についても同じ方法で前後に声をかけること。今までおばあちゃんの口うるさいと同じくらいの頻度数で先手を打って、その都度いうこと」

 二ヵ月後、彼女は予想通りに成功の報告に来ました。

 こういうケースもあったそうです。

 ある中学生は、怒ると「味の素」や醤油を台所にまいて親を困らせていました。したがって、親は用がすむと味の素や醤油を隠していました。そこでそのカウンセラーが「今度息子さんが醤油をまき始めたら、お父さんも一緒にまくこと」と言ったそうです。その通りしてみたが、息子が「おやじ、いいかげんにしろ!」とどなって、それ以後はまかなくなってしまったそうです。

 カウンセリングは、教えてはならない、傾聴しなければならない、と普通は強調しますが、普通は傾聴だけでは援助にならないことが多いのです。スキル(扱い方)がわからない場合には教える必要があります。ただし、スキルは心得ていても、思うとおりにならないことがあります。また、自分の心の中で疑問が生じている場合は、いくらスーパービジョンを行ってもそれを実行しないことがあります。

 さて、次回は、この場合のスーパービジョンをどうするかと勉強していきましょう。

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このページは、宝徳 健が2010年10月13日 07:55に書いたブログ記事です。

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