カウンセリングには三段階がありました。
①リレーションをつくる
②問題の核心をつかむ
③適切な処置をする
リレーションを作るために「受容と支持」が必要でした。問題の核心をつかむために「繰り返し」「明確化」「質問」を勉強しました。
今は、③適切な「処置」を勉強しています。「処置」の中の「スーパービジョン」を勉強しています。
あるカウンセラーが、大学を出たばかりのある若い女教師が来て言うには、通信簿の行動記録の欄に四十三名分違うことを書かなくてはならないのに、何を書いてもよいかわからない、期日が迫ってくるのに少しもはかどらず、自分は教師不適格者だと落ち込んでいたそうです。
企業でも、人事考課等の際によくありますね。
このカウンセラーの女教師に対するスーパービジョンをみてみましょう。
カ「誰でもよい、クラスの子をひとり思い出してください」
女「はい、思い出しました」
カ「よろしい。では、その子にあなたはどんな感じをもっていますか」
女「やんちゃで困っています」
カ「もっとどうなってほしい?」
女「おとなしくしてほしい」
カ「じゃあ、こう書いたらどうだろうか。『君は男らしいところがある。来学期は弱い者をもっと助けてやってね』と。じゃあ、もうひとり、思い出してください」
女「はい、思い出しました」
カ「どんな子?」
女「出しゃばりだからみんなに嫌われているんです」
カ「うーむ、結局その子にどうなってほしいの?」
女「仲間に好かれるようになってほしい」
カ「そりゃあそうだね。じゃあ、これはどうだろう『君は先生の手伝いをよくしてくれる気のつく子供だ。来学期はクラスの友達の面倒をみてやってください』。よくないですか?」
こんな具合に三例ばかりやったそうです。その女教師は、こんなことなら自分ひとりでもできますと言って、一時間くらいで全員の記録を書いてしまったそうです。
この例で申し上げたいのは、スーパービジョンは具体的に教えるのですから、カウンセラーによって守備範囲に限界があるということです。自分を高めるかリファーをするか。
企業経営者、幹部というリーダーなら、勉強範囲を広げて、いろいろなスーパービジョンに対応していけるようになる必要があります。それでもだめなら、リファーできる相手を探しましょう。
スーパービジョンの技術(スキル)としては行動療法という心理学に学ぶところが多いものです。
その中でも、モデリング強化法などは、一番使いやしいのではないでしょうか?少し紹介しますね。
「こういうふうに言ってみてはどうだろうか」とサンプルを示ようなものです。経過報告や結果報告を受けて「そうです。そういうふうにするといいです」とほめてあげるのも簡単なモデリング法です。
山本五十六の
やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ
というのは、典型的なモデリング法です。
このモデリング法も少し手の込んだものがあります。シェーピングといって、段階的にほめていく方法です。次回はそれを勉強しましょう。
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