カウンセリングには三段階がありました。
①リレーションをつくる
②問題の核心をつかむ
③適切な処置をする
リレーションを作るために「受容と支持」が必要でした。問題の核心をつかむために「繰り返し」「明確化」「質問」を勉強しました。適切な処理をするために、情報提供とアドバイスがありました。これがカウンセリング体系です。
面接中期の留意点を続けます。今日から感情移転を解説します。対抗感情移転とどう違うかって?まあ、みてください。対抗感情移転はカウンセラーが抱くものでした。感情移転とは、クライエントがかつて誰かに抱いていた感情をカウンセラーに向けることです。「誰かに抱いていた感情」とは、多くの場合、父母同胞など幼少期に重要な関係をもった家族のメンバーです。家族のメンバーと限定する必要はありません。
父の愛を求めて得られなかった女性がカウンセラーに父の愛を求める。母を恐れているクライエントが女性カウンセラーにびくびくする。父を軽蔑している青年がカウンセラーにも類似の感情を向ける。などです。
感情移転をされたカウンセラーは、そのことに気づかないと、自分は愛されている、自分は馬鹿にされていると一人合点しがちになります。すなわち、対抗感情移転に火がつくことになります。仮に自分以外のカウンセラーがこのクライエントと相対しても、たぶん同じ感情を向けられるであろいうことを知る必要があります。人間、誰しもナーシズムがあるので、「自分」が愛され、あるいは「自分」が馬鹿にされると、リレーションを作りにくくなります。
では、どうすればいいのでしょうか。あくまでも面接中期だという前提を忘れないでください。クライエントが、感情移転をしていることを指摘(解釈)して気づかせることです。「君は父を憎んでいる、だから、その感情を私にも向けている」「あなたはきょうだいの中でも特に親にかまってもらえなかった。だから私もそうだと思って、あまり甘えないのだ。君さえよければ今日の昼休みに面接の時間をつくるよ」「君はいつまでもここでしゃべっていたいという。それはちょうど、子供の頃、母親のそばにいたかったのと同じじゃないかなあ」などです。
クライエントが否定したら、議論せずにそのままにして、また機会があるときに繰り返してください。
クライエントが示す感情転移の内容で多いのは、①依存性(甘え)、②愛の感情、③アンビバレンスです。
次回からこの3つを解説していきます。
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