このシリーズは右のカテゴリー「短編小説」に格納されています。
「他の記事と違って、堅苦しくなくて、面白くて、短くて、読みやすい」って、意見をいただきました・・・・・・・。いつも、「堅苦しくて、面白くなくて、長くて、読みにくくて」ごめんなさい・・・・・・。
昔、支那に、燕という国がありました。
「他の記事と違って、堅苦しくなくて、面白くて、短くて、読みやすい」って、意見をいただきました・・・・・・・。いつも、「堅苦しくて、面白くなくて、長くて、読みにくくて」ごめんなさい・・・・・・。
昔、支那に、燕という国がありました。
燕の国の街道を、一人の男が馬を走らせていた。衣服は流れの行商人が身に着けているものだが、大きな馬を巧みに乗りこなす姿は、一介の商人のものではけっしてない。また、けっして、武人のように体が大きく鋼のような筋肉をしているわけでもない。しかし、貧弱ではなく、その眼から発せられる光は、一流の男のものであることは、誰が見ても明白であった。
手綱をつかみ、馬の腹を蹴って先を急いでいた彼は、彼方にある関所が次第に大きくなってくるのをその目で確認し、そして、馬の脚を緩めていった。
彼の名前は張丑(ちょうご)という。斉という国の人間であった。
「さてと、ここまではいいのだが・・・。問題はここからだ・・・」 帳丑は心の中でつぶやいた。
「こんな服を着るようになってしまったか」。帳丑が城を出たのは三日前であった。この姿は役人の目を欺く変装であった。早馬を乗り継いで、城から国境まで丸一日。燕王からの伝令はすでに、国境を警備する兵にも伝えられているはずである。
この衣服は、以前、行き倒れていた旅人の死に水を取る代わりに譲り受けたものである。身なりとしては、流れの商人と名乗って十分通じる。問題は、自分の振る舞いだ。怪しまれずに済むか。問われて警備の兵を納得させられる身の上を語れるか。帳丑は、道々商人としての自分の物語を作り上げていった。そして、それを頭の中で反芻するのだった。
関所に着いた。予想通り、警備の兵に厳しい質問を浴びせられた。帳丑は商人らしく慇懃に答えた。
「斉の商人でございます。恩人の訃報にあって燕京に参りました。弔いには間に合いませんでしたものの、墓標を拝ませていただいたことろで、郷里に帰るところでございます」
「分不相応な馬を持っているようだが」
「これは形見分けに譲り受けたもの。おっしゃるとおり、私の身には過ぎたものでございます。郷里に帰りましたら、領主様に献上するつもりでおります」
帳丑には、反芻したとおりの答えであった。しかし、この警備兵はかなりの頭と腕がある。特にこの大柄な体はもみ合っては勝ち目はないであろう。なんとしてでも言いくるめなければならなかった。
すると警備兵は、眉間にしわを寄せて帳丑をにらんだ。
「燕王さまより下された捕縛の命がある。手配されている者の特徴もお前によく似ている」
「いいえ、そんな恐れ多い。私は、ただの斉の商人でございます」
「いや、この馬も連絡の通りだ。お前は帳丑だな」
手配書はよほど念入りに帳丑の特徴を書いたものらしい。帳丑は、生きた心地がしなかった。
「どのようなご連絡を受けているかは存じ上げませんが、私は、決して、その帳なんとかという者ではありません」
警備兵はにやりと笑っていいました。
「いいや、お前は帳丑だ。お前を捕縛する」
といいながら、いよいよ自分にも出世の機会が来たとほくそえんだ。
さあさあ、あなたが帳丑ならどうしますか? 黙ってつかまって殺されますか?
♪あなたな~ら ど~する~♪
手綱をつかみ、馬の腹を蹴って先を急いでいた彼は、彼方にある関所が次第に大きくなってくるのをその目で確認し、そして、馬の脚を緩めていった。
彼の名前は張丑(ちょうご)という。斉という国の人間であった。
「さてと、ここまではいいのだが・・・。問題はここからだ・・・」 帳丑は心の中でつぶやいた。
「こんな服を着るようになってしまったか」。帳丑が城を出たのは三日前であった。この姿は役人の目を欺く変装であった。早馬を乗り継いで、城から国境まで丸一日。燕王からの伝令はすでに、国境を警備する兵にも伝えられているはずである。
この衣服は、以前、行き倒れていた旅人の死に水を取る代わりに譲り受けたものである。身なりとしては、流れの商人と名乗って十分通じる。問題は、自分の振る舞いだ。怪しまれずに済むか。問われて警備の兵を納得させられる身の上を語れるか。帳丑は、道々商人としての自分の物語を作り上げていった。そして、それを頭の中で反芻するのだった。
関所に着いた。予想通り、警備の兵に厳しい質問を浴びせられた。帳丑は商人らしく慇懃に答えた。
「斉の商人でございます。恩人の訃報にあって燕京に参りました。弔いには間に合いませんでしたものの、墓標を拝ませていただいたことろで、郷里に帰るところでございます」
「分不相応な馬を持っているようだが」
「これは形見分けに譲り受けたもの。おっしゃるとおり、私の身には過ぎたものでございます。郷里に帰りましたら、領主様に献上するつもりでおります」
帳丑には、反芻したとおりの答えであった。しかし、この警備兵はかなりの頭と腕がある。特にこの大柄な体はもみ合っては勝ち目はないであろう。なんとしてでも言いくるめなければならなかった。
すると警備兵は、眉間にしわを寄せて帳丑をにらんだ。
「燕王さまより下された捕縛の命がある。手配されている者の特徴もお前によく似ている」
「いいえ、そんな恐れ多い。私は、ただの斉の商人でございます」
「いや、この馬も連絡の通りだ。お前は帳丑だな」
手配書はよほど念入りに帳丑の特徴を書いたものらしい。帳丑は、生きた心地がしなかった。
「どのようなご連絡を受けているかは存じ上げませんが、私は、決して、その帳なんとかという者ではありません」
警備兵はにやりと笑っていいました。
「いいや、お前は帳丑だ。お前を捕縛する」
といいながら、いよいよ自分にも出世の機会が来たとほくそえんだ。
さあさあ、あなたが帳丑ならどうしますか? 黙ってつかまって殺されますか?
♪あなたな~ら ど~する~♪
コメントする