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この前の続きです。斉の宰相 晏嬰(あんえい)が、楚に使いに行きます。犬の門から入れという難題はクリアしました。さて、次はどんな難題が待っているのでしょうか。
この前の続きです。斉の宰相 晏嬰(あんえい)が、楚に使いに行きます。犬の門から入れという難題はクリアしました。さて、次はどんな難題が待っているのでしょうか。
「ふっふっふ~、楚の人間は、わしのことを犬と言うが、この程度なら、楚は猿知恵じゃて。おお、そうじゃ、楚の人間のことを、世間では、「楚人沐猴而冠(楚人は沐猴にして冠するのみ:楚の人間は猿が冠をかぶったようなのだ)」と言うが、まさにその通りじゃわい」
晏嬰は、こみ上げる笑いを抑えるのに必至だった。
晏嬰は、楚王の前に、出た。
「おうおう、晏嬰どの、よく来られた。道中大変であっただろう。ゆっくりなされるがよい。不自由はさせないぞ」
「ありがとうござります」
そこに、家臣が、ある男を連れて、王の前に出た。
「わが君、この男が泥棒を働きました。どのような罪にしましょうぞ」
よく見ると、その男は、晏嬰もよく知る斉の男である。
「はっは~、わざとわしの前に斉の男が泥棒になったと言って連れてきて、斉の宰相であるわしにはじを書かせようというのじゃな」。晏嬰は、心の中で思った。
「その男は、斉の男ではないか。斉の男というのは、みんな泥棒なのじゃな。みっともないものじゃ」
楚王の言葉には、あきらかに以前よりこの策謀を知っているような含みであった。
家臣一同も、冷笑・爆笑、人間の持っているいやらしさが、躊躇なく爆発している。
「なんじゃ、やはり、楚人沐猴而冠じゃわい。こんなことでわしを困らせようとしておる」。晏嬰は、この程度で、得意面になっている楚の人間がおかしくて仕方がかかった。
さて、晏嬰は、楚のしかけにたいして、どうしたのでしょうか?つづく。
♪あなたな~ら、どうする~♪
【参考:楚人沐猴而冠】
『史記』という歴史書に出てくる言葉です。秦を倒した項羽が余りにも政治音痴だったため、ある人が「人言楚人沐猴而冠耳,果然」と言いました。
各単語ごとの解説をすると:
「人」=「人々、皆」
「言」=「言う、噂する」
「楚人」=「楚(中国の南方)の出身者」項羽の出身地が楚なので、暗に項羽を指します。
「沐猴」=「猕猴」という猿。
「而」=連詞。前後の単語や文をつなげるためのもの。この場合は特に意味を考える必要はありません。
「冠」=動詞「冠をかぶる」
「耳」=語気を整える語。特に意味を考える必要はないです。
「果」=「果たして」
「然」=「然り。その通りだ」
以上をまとめると
「人々は『楚の国の出身者は猿が冠をかぶったようなものだ』と言っているが、全くその通りだ」
つまり、外見は冠をかぶって立派に見えるけど、実際やっていることは猿並みの愚か者、という意味です。(この発言をした人は項羽に捕まって煮殺されてしまいました。)
ここから中国語では「沐猴而冠(もっこうにしてかんす)」という四字成語が生まれました。
「外見だけを着飾って中身がない者」さらには「悪い勢力に加担して権勢を得る者」という意味で使われます。
晏嬰は、こみ上げる笑いを抑えるのに必至だった。
晏嬰は、楚王の前に、出た。
「おうおう、晏嬰どの、よく来られた。道中大変であっただろう。ゆっくりなされるがよい。不自由はさせないぞ」
「ありがとうござります」
そこに、家臣が、ある男を連れて、王の前に出た。
「わが君、この男が泥棒を働きました。どのような罪にしましょうぞ」
よく見ると、その男は、晏嬰もよく知る斉の男である。
「はっは~、わざとわしの前に斉の男が泥棒になったと言って連れてきて、斉の宰相であるわしにはじを書かせようというのじゃな」。晏嬰は、心の中で思った。
「その男は、斉の男ではないか。斉の男というのは、みんな泥棒なのじゃな。みっともないものじゃ」
楚王の言葉には、あきらかに以前よりこの策謀を知っているような含みであった。
家臣一同も、冷笑・爆笑、人間の持っているいやらしさが、躊躇なく爆発している。
「なんじゃ、やはり、楚人沐猴而冠じゃわい。こんなことでわしを困らせようとしておる」。晏嬰は、この程度で、得意面になっている楚の人間がおかしくて仕方がかかった。
さて、晏嬰は、楚のしかけにたいして、どうしたのでしょうか?つづく。
♪あなたな~ら、どうする~♪
【参考:楚人沐猴而冠】
『史記』という歴史書に出てくる言葉です。秦を倒した項羽が余りにも政治音痴だったため、ある人が「人言楚人沐猴而冠耳,果然」と言いました。
各単語ごとの解説をすると:
「人」=「人々、皆」
「言」=「言う、噂する」
「楚人」=「楚(中国の南方)の出身者」項羽の出身地が楚なので、暗に項羽を指します。
「沐猴」=「猕猴」という猿。
「而」=連詞。前後の単語や文をつなげるためのもの。この場合は特に意味を考える必要はありません。
「冠」=動詞「冠をかぶる」
「耳」=語気を整える語。特に意味を考える必要はないです。
「果」=「果たして」
「然」=「然り。その通りだ」
以上をまとめると
「人々は『楚の国の出身者は猿が冠をかぶったようなものだ』と言っているが、全くその通りだ」
つまり、外見は冠をかぶって立派に見えるけど、実際やっていることは猿並みの愚か者、という意味です。(この発言をした人は項羽に捕まって煮殺されてしまいました。)
ここから中国語では「沐猴而冠(もっこうにしてかんす)」という四字成語が生まれました。
「外見だけを着飾って中身がない者」さらには「悪い勢力に加担して権勢を得る者」という意味で使われます。
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