誰の意見を聞きますか?③

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 楚の襄王(じょうおう)が、斉の国の要求にどう対処するかということを、三人の家臣に聞きました。そうすると、三人とも違うこと進言しました。「土地を渡す」「渡してはいけない。自分が軍を率いて守りに行く」「渡したはいけない。でも、独力で斉の猛攻を防ぐことができないので、自分が使いに行って、秦に助けを求める」というものでした。

 襄王は、悩んだ挙句、一番信頼のおける大夫にどうすればいいかを聞きました。

 あなたは、どれを選んだらいいと考えましたか?
「大夫ならよい答えを出してくれるじゃろう。誰か、大夫をこれへ」

 大夫がやってきた。雰囲気を察した大夫は、王に人払いをお願いした。そして、王にそれまでのいきさつを聞いたのであった。

「どうじゃ、大夫。誰の意見を聞けばいい?」

「ほう、さすがあの三人じゃわい。楚はまだ国力が弱いが、人は育ってきたのう。これからが楽しみじゃ」

 大夫は、笑みを浮かべながら心の中でそう思った。

「大夫、笑っている場合じゃないぞ。危機は迫っておる。どうすればいいのじゃ」

「三人の意見を、みんな採用なさいませ」

「はっ? どういうことじゃ」

「王は、家臣②を斉へ使者として出し、土地五百里を献上なさいませ。その翌日に、家臣③に兵を与え、東地を守りに行かせなされ。そして、その翌日に家臣④を秦への使者としておつかわしになされませ」

 なるほど。と聡明な襄王はすぐに大夫の意図を悟った。そしてさっそく、その通りに動いた。

 家臣②が来た斉は、さっそく軍隊を派遣し、東地五百里を取りに行った。すると、家臣③が守って、土地を渡さない。斉王は、怒って、家臣②を問いただした。すると、家臣②は「どうぞ、攻め落とされてください」と言った。そいうこうしているうちに、秦の救援が来た。斉は引き返すしかなかった。 ちゃんちゃん。

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このページは、宝徳 健が2011年2月22日 16:12に書いたブログ記事です。

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