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「お父さん、僕たちの住んでいるここは、なぜ島根県八束郡東出雲町意宇って言うの?なにか意味があるようにお母さんが言っていたけど」
「健太、よい質問だね。この出雲の国の神話に由来しているんだよ」
「へー、お父さん、神話の世界のことが知名になっているの? 出雲ってすごいんだね」
「そうだよ。出雲は神の国だからね。では、今から、話してあげよう」
「わーい」
「お父さん、僕たちの住んでいるここは、なぜ島根県八束郡東出雲町意宇って言うの?なにか意味があるようにお母さんが言っていたけど」
「健太、よい質問だね。この出雲の国の神話に由来しているんだよ」
「へー、お父さん、神話の世界のことが知名になっているの? 出雲ってすごいんだね」
「そうだよ。出雲は神の国だからね。では、今から、話してあげよう」
「わーい」
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「ふ~、やっと終わったわい」
八束水臣津野命(やつかみずおみつのみこと:以後、八束の神様)という神さまがひと仕事終えました。
「それにしても、狭い国じゃったが、これでなんとか広い国になったのう」
八束の神様は、仕事を始めたときのことを思い出しました。
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「八雲立つ出雲というのは、幅の狭い布のような幼い国じゃのう。どうやら初めての国なので、小さく作ってしまったようじゃ。これではいかん。もっと作っていかなければ」「おうおう、新羅の国(朝鮮)に、ちょうど余ったところがあるわい。おお、おお、国の余りが新羅にあるわい」
八束の神様は、童女の胸のような鋤(すき)を手にとり、大魚のえらを突くように土地を突き刺し、大魚の肉を屠(ほふ)り分けるように、新羅の土地を切り離しました。そして、三本の綱を打ちかけて、こちらに手繰り寄せました。
「♪ くにこい こにこい えんやらや~ かみさま つなひき おくにびき~♪」
こうして引き寄せたのが、杵築御崎(きづきのみさき)でした。
「さてさて、このままでは、海に浮かんでどこかに行ってしまいそうじゃのう。そうじゃ、あの山に固定しよう」
八束の神様は、そういって、石見の国と出雲の国の境にある三瓶山に綱を括り付けました。その綱は、薗の長浜(出雲市)になりました。
「やれやら、ひとつ終わったわい。次は、北じゃ。おおあるある、隠岐の方にあるわい、あるわい」
八束の神様は、童女の胸のような鋤(すき)を手にとり、大魚のえらを突くように土地を突き刺し、大魚の肉を屠(ほふ)り分けるように、隠岐の方の島のひとつに、三本の綱を打ちかけて、こちらに手繰り寄せました。
「♪ くにこい こにこい えんやらや~ かみさま つなひき おくにびき~♪」
こうしてできた国が、狭田の国です。
「まだ、ちいと足りんのう。おおおお、まだ隠岐にあるわい」
八束の神様は、童女の胸のような鋤(すき)を手にとり、大魚のえらを突くように土地を突き刺し、大魚の肉を屠(ほふ)り分けるように、もうひとつ隠岐の方の島に、三本の綱を打ちかけて、こちらに手繰り寄せました。
「♪ くにこい こにこい えんやらや~ かみさま つなひき おくにびき~♪」
こうしてできた国が闇見(くらみ)の国です(現在の松江市新庄町闇見谷付近)。
「なんか、東の方があいておるのう」
「おうおう、あるある。能登半島の方に国が余っておるわい」
八束の神様は、童女の胸のような鋤(すき)を手にとり、大魚のえらを突くように土地を突き刺し、大魚の肉を屠(ほふ)り分けるように、能登半島の土地を切り離しました。そして、三本の綱を打ちかけて、こちらに手繰り寄せました。
「♪ くにこい こにこい えんやらや~ かみさま つなひき おくにびき~♪」
こうしてできたのが、美保の岬(三保の岬)です。
「う~ん、これも、ふわふわ浮いておるから、海に流されるかもしれんのう。そうじゃ、あの山にくくりつけよう」
八束の神様は、手に持っていた綱を、伯耆(ほうき)の国にある火神岳(大山)に括り付けました。持っていた綱は、夜見の島になりました。
「さあ、これで終わりじゃ。おゑ(終わりという意味)」
ということで、その地の名前が「意宇(おう)」になりました。
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「お父さん、そうなんだ! だからこの辺は、八束の神様にちなんで、八束郡っていうんだね。この地で国引きが終わったから、意宇(おう)って言うんだね。僕たちの住んでいるところはすごいんだね」
「そうだよ。これが出雲の国引き神話だよ。これだけ神話が生活の中に入っているのは日本だけだね」
「でも、お父さん、なぜ、童女の胸のようななの?」
「それはね、古代人が土地を開墾するのに鋤(すき)の威力に霊性を感じていたことの証だし、その鋤の大きさに、若い女性の胸を思って、豊かな実りと健康な生命力をあがめ求めていたからなんだよ。大魚を表現しているのも漁業の大変さを表現しているのさ。」
「ふ~ん。それと、確かに、こちら側から見ると、三つにくびれていて、四つの山があるね。」
「そうだよ。これが神話じゃないかって言う人がいるんだけど、古代人の創造性のたまものなのだよ。それとね、健太。神話がない民族は発展していないんだ」
「うん、わかるよ。そんな屁理屈は、どうでもいいよ。そういう話が伝わっている地域に住んでいることが誇りだよ。おっと、早く宿題しないと。お父さん、ありがとう」
「勉強がんばって」
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