まず、税の観点。経済学には均衡財政乗数という考え方があります。今回のケースで言えば、復興のために増税をして、その税収をすべて復興のための公共事業や被災者への所得移転として使えば、経済全体の需要にはプラスの効果が働くということです。
政界には社会保障と今回の復興に関しては、別の税で行うべきだという議論もあるようです。
確かに、この二つの考え方は正解です。次世代にツケを残さない点でも良いでしょう。でも、まず、復興税をうまく使える能力が民主党にはありません。ですから、均衡財政乗数が働かないリスクがかなり高い。それと、二つの税を作って運用している政治力も民主党にはありません。
では、国債はどうか。復興債ですね。
少し話を変えます。大震災に見舞われ、政府は機能不全、原発問題は迷走している。なのに、なぜ円が暴落しないのでしょうか?
日本は、世界最大の債権国家だからです。民間が海外に持つ金融資産を国内資金需要にまわせるゆとりがあるからです。インフレ政策をとる債務国米国のドルに比べて、円の値打ちは下がりようがありません。
日本の対外純債権は、官民あわせて270兆円です。政府は米国債を中心に100兆円の外貨準備を保有しています。でも、政府の米国債はニューヨーク連銀が保管しており、日本政府はワシントンの了解がない限り、売却できません。でも、これを日銀に担保に入れて国債を発行することはできます。
それと、日米関係に左右されない民間保有の対外債権があります。国際決済銀行(BIS)によると、日本の銀行の対外金融債権総額は2010年末で2兆8000億ドルで、このうち74%がドルなど外貨建て債権です。
BIS加盟国全体の銀行純債権(債権から債務を引いたもの)総額は、10年9月末で、1兆9千億ドルです。なんと、日本はそのうち、1兆6300億円(85%)を占めています。英国は3150億ドルの純債務、米国は136億ドルの純債権でしかありません。
日本の経済は弱くなっただとか、日本の教育レベルは低いだとか、日本のなんとかは世界でも下位の方だとか、海外のメディアにダマさた日本のメディアが、大騒ぎをしていましたが、なんのことはない、世界の経済は日本がなくては動かないのです。
では、この強い円をどう復興に使うか。
まずは、先ほど申し上げたように、米国債権を担保に国債を発行する。大規模な復興財源が出来てきます。また、米国債をあてにしなくても巨額の復興債を発行できます。
こういうことを言うと、反論が起きます。政府が巨額の復興債の発行を決め、日銀が発行規模に応じてお札を刷って市場に流す。そうすると、通常は通貨の大量発行ということで、円急落の原因となる。というものです。
ところが、復興債を買うために、民間金融機関が外貨建て資産を換金する際に円を買うので、円相場は下がらないのです。これが債務国家米国とは違う、世界最大の債権国家のなせるわざです。
私は、復興債に賛成ですが、税でも国債でも、リーダーがすぐれていないと、何もできません。違った使い方をしてしまいます。
そろそろ、解散総選挙をやりませんか? 民主党ではだめです。
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