このシリーズは右のカテゴリー「心理学」に格納されています。
心理学のカテゴリーに格納されていることから、だいたい、なんか精神的なものなのだろうなあと推察していただいていると思います。
そうなんですが、普段あまり聞かないとても大切な概念です。
カウンセリングをはじめとした心理療法は、どちらかというと、心が病んでいる人を、まずは正常な状態にもどすためにはどうするかということがテーマになっています。マイナスからゼロへ戻すことです。それはそれで必要ですが、これまで書いてきた「Eの必要性」によって、それだけでは現代の世相では不足しています。それを何回かに分けて解き明かしていきましょう。
人間の成長の根源は、親と子の一対一のリレーションです。特に母子のリレーションが出発点です。学校に行き始めると親とのリレーションが徐々に仲間とのリレーションになってきます。つまり、リレーションが拡大していきます。やがて、これが社会にまで発展します。社会にまで発展するとは、社会の中で何らかの役割(職業的役割、性的役割、市民的役割、結婚上の役割など)を演ずることで社会とのリレーションを獲得して行く事を意味しています。
つまり、人間が成長するとは一対一のリレーションからグループ内でのリレーションへと対象を拡大して行く事なのです。
ところが、グループの中でリレーションがもてない人がいます。いつまでも一対一のリレーションに固着している人です。こういうのを慢性的退行心理と言います。こういう人たちには、カウンセリングや心理療法が必要になります。
これに対して、一対一のリレーションを卒業してグループの中で生きられる人を「健常者」と呼びます。さて、グループの中で生きるといっても二通りあるのです。では、次回につづきます。
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