このシリーズは右のカテゴリー「短編小説」に格納されています。
「大臣、このアメリカの要求では、国内の様々な関係者の理解を得ることはできません」
「そんなことわかっておる。それをなんとかするのが君らの仕事だろう」
建設省の佐々木は、大臣の村岡に訴えたが、村岡の力ではどうすることもできなかった。
「佐々木君、時期を待つんだ。それが政治というものだ。ただし、建築審議会のメンバーには、いつかはこのことを実現しないといけないことだけはわかってもらっておいてくれ」
そして、阪神・淡路大震災が・・・。
建設審議会のメンバーは、この大災害をうまく利用し、これ幸いと、建築基準法をアメリカの要求通り変更したのであった。マスコミもこれに気づかず、国民は、震災の影響で、建築基準法が強化されたのだとばかり思い込んでしまった。
2011年3月11日、東日本大震災が勃発した。1000年に一度と言われる、大災害である。全国からのボランティアが各所で活躍していた。
健もボランティアに参加した。家が倒壊した瓦礫の向こうでは、アメリカ軍が「TOMODACHI作戦」を展開している。
健は思った。「あの建築基準法改正後に作られた家は、今回この震災で何件潰れたのだろうか?そして、アメリカは、今度はいったい何を要求してくるのだろうか。」
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「OK、撤収だ。諸君のおかげでOperation TOMODACHI は大成功だ。ビンらーディンも除去できた。外交の勝利だ。大統領選にもつながるだろう」
「Yes,sie プレジデント オバマ」
「そうだ、忘れるな。これだけ恩を売ったんだ。今年の日本へのSIIに、何を要求するかをよく練ってくれ。あの国はまだまだおいしい国だからな」
「Yes,sir」
SIIとは、一体なんだろうか? (このシリーズ終わり)
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