四十二号の巻頭言だけ掲載しておきます。
【第四十二号:性】
いつもお世話になっております。「士魂商才(しこんしょうさい)」の第四十二号です。第四十二号のタイトルは「性」とさせていただきました。「せい」とお読みください。
孔子の孫 子思が著した「中庸」があります。致知出版社から「中庸に学ぶ 伊與田覺先生著」が出ています。その本の中の、中庸第一章で、次の言葉が紹介されています。
天の命ずる之を性と謂い、性に率(したが)う之を道と謂い、道を修むる之を教(おしえ)と謂うなり。
戦後の誤った学校教育で、「個性」という言葉が間違って教えられました。「自分勝手にしていい」というものです。古代支那の国で形成されえた人間の生きる道を、最も実践したのが日本でした。長い間、私たちの祖先が築き上げてくれたその世界に類を見ない生き方を、いくら戦後教育が誤っていたとは言え、私たちは、たった六十数年で崩壊させてしまいました。
人間は、一人ひとり違います。この世に生れるときに与えられた使命が一人ひとり違います。その与えられた使命を、与えられた場所において、必死に探していくことが求められています。孔子は、五十にしてその天命を知ったそうです。そして、見つけたならば、それを実践していくことが道となります。
つまり、性(個性)とは、自分勝手にわがままをすることではなく、今生きているその中において、自分が果たしていく役割を見つけ、それをとことん実践していくことと理解しています。
私はまだ、自分の性(天命)を見つけていません。しかし、どんなに苦しくても、働く目的が、「金」「仕事のみ」「自分の会社さえよければいい」「自分さえよければいい」などにならないように自分を戒めてまいります。苦しさが性を見つけていく大きな動きなのだと自分に言い聞かせながら。
これが、今回のタイトルを「性」とした理由です。
今月号もお楽しみください。記事がたくさんありますので、興味のあるところからお読みいただいても結構ですし、興味のあるところだけお読みいただいてももちろん結構です。
感謝合掌
平成二十三年五月吉日
株式会社 経営戦略室
代表取締役 宝徳 健
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