マルチ・モチベーション

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 弊社は、職場モチベーションを克明に分析する独自のシステムを持っています。労務管理のモチベーション理論を駆使したわが社独自のモデルです。

 ちょっと前まで、このブログで紹介していたのですが、「みんなあまり興味ないかなあ」と思い、掲載するのを控えていました。すると、一人の友人から、とても興味を持っているとのお言葉をいただきました。すみません・・・。勝手に自分で決めつけてはいけませんね。

 前回書いたのが6月1日。ちょっと間があいてしまったので、前回の内容を掲載しながら、これまでやった例を紹介します。今日は「美容室」を紹介します。

(美容室の例)

 美容室で何社か行いましたが、美容室でよく出る傾向は「2.内発的モチベーションが高く、個人的モチベーションが高い組織」です。つまり「職務モチベーション」が強い傾向です。これは、かなり生産性が高い美容室です。他の仲間と仲良くするよりも、自分の仕事に集中したいという傾向です。美容室は独立志向や店長志向が強いので、こういう傾向が強くなります。徒弟制度が強いので、トップスタイリストとアシスタントとでは、天と地の違いがあります。「地」の人は、お店を変わるか、美容師自体を辞めてしまいます。

 さて、この「2.内発的モチベーションが高く、個人的モチベーションが高い組織」は、「個人の頑張り」で生産性が高くなります。ですから、「儲かります」。ここでオーナーは「これでいい」と誤解してしまうことが多々あります。こういうケースでは、スタイリストが一人抜けてしまうと、その美容室は売上高が激減してしまいます。

 この傾向が強い美容室は、絶対に「1.内発的モチベーションが高く、集団的モチベーションが高い組織」に誘導しなくてはなりません。「理念モチベーション」です。北九州のバグジーのように。

 しかし、「2.内発的モチベーションが高く、個人的モチベーションが高い組織」は、「3.外発的モチベーションが高く、集団的モチベーションが高い組織(対人モチベーション)」「4.外発的モチベーションが高く、個人的モチベーションが高い組織(報酬モチベーション)」になってしまうケースが高いのです。こうなるとモチベーションを再度高めるのに、非常に時間と労力を要してしまいます。

 何も美容室に限ったことではなく、経営者は、組織のモチベーション状態を常に把握し、どのモチベーション状態に導くために何をするかを常に考えておく必要があります。

 売上や収益を追求するのは「モノづくり」です。理念という「コト」がない組織は、崩壊の危険性があります。売上や収益が増加している。資金繰りが安定しているといった状態は、経営者の心をとても安心させます。でも、「コト」に向かわない安心は、潜在的な病気に気づかていない、人間の体と一緒です。

(前回の内容)

1.内発的モチベーションが高く、集団的モチベーションが高い組織

 この組織は、「理念モチベーション組織」と言います。対人志向も仕事志向も高い理想的な組織です。現在の状態をさらに高めるために、細かいことは規定せずに伸び伸び働ける評価・処遇制度を構築するといいでしょう。

 モラールとモラルは違います。モラールというのは、モチベーションと同義語です。モラルというのは、人と人との付き合いにおいて、自分勝手なわがままを許さず、最低限のルールをきちんと守ることです。「モラールを引き出すことには大らかで、モラルを守る部分は厳しく」が大切です。でも、経営においてよくありがちなのが、仕事の意思決定などモラールを引き出さなければならない部分において、やたら細かく指示したりうるさくいっているくせに、モラルの部分はあまりこだわっていないことです。こういう組織は、社員が裏でコソコソ陰口を言ったり、動いたりする、「御殿女中組織」となってしまいます。

 特にこの状態の組織で、こんなことをやってしまったら、まさしく学級崩壊の構図になってしまいます。モラールには寛大に、モラルには厳しくしてください。

2.内発的モチベーションが高く、個人的モチベーションが高い組織

 つまり、仕事志向性が高く対人モチベーションが低い組織です。こういう組織で働きやすいモチベーションが、「職務モチベーション」です。人のことはどうでもいい。でも、仕事が好きなので、自分の仕事はきちんとやりたという傾向が強いのです。こういう組織には、仕事をより充実させると共に、徐々に集団的モチベーションを引き出す評価・処遇制度を構築します。

3.外発的モチベーションが高く、集団的モチベーションが高い組織

 対人志向性は高いが、仕事志向性が低い組織です。「みんなで仲良く、でも仕事はほどほどに」という傾向ですね。対人モチベーションが非常に高くなります。対人モチベーションを維持するために、人と人との関わりやルールを重視すると共に、理念モチベーションへステップアップするために、仕事志向性を促す評価・処遇制度を構築します。

4.外発的モチベーションが高く、個人的モチベーションが高い組織

 対人志向性も仕事志向性も低い組織です。こういう組織は、「報酬モチベーション」が高くなります。組織とはお金のつながりだという意識が強い組織です。最も危険な組織です。最近ありがちですね。報酬面での評価を打ち出しながら会社の戦略に基づいて、「理念」「対人」「職務」のどの方向へ社員を導いていくかを決めます。その方向性にマッチした評価・処遇制度を構築します)

 

 

 

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このページは、宝徳 健が2011年7月21日 05:12に書いたブログ記事です。

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