クロネコヤマトのすばらしいBCPをシリーズで紹介しています。二回目です。
ヤマトが荷物を集荷・配送する仕組みは、まず、全国に約4000カ所ある「センター」と呼ばれる営業所に集めた荷物を全国71カ所のベースに持ち込みます。 ベースでは持ち込んだ荷物を仕分けし、配送先に近いセンターに送ります。全国に10カ所ある支社の主管地域を荷物がまたぐ場合は、ベースで仕分けた荷物を配送 先を管轄するベースに移したうえで、最寄りのセンターに届けます。もしパンデミックでベース勤務者の大半が出勤できなくなれば、持ち込まれた荷物の仕分け作業がストップしてしまいます。
こうした事態に陥れば「大規模な遅配は免れない」(筧部長)。このため、たとえベース勤務者や配達員の40%が欠勤しても、事業を継続できるBCPを作 り上げました。全国のいずれかのベースが機能しなくなっても、近隣のベースで荷物の仕分け作業を肩代わりできる仕組みを構築したのです。
具体的には、過去の物量などの実績データに基づいて、近隣のベースにどれだけの荷物を振り分けるべきかをシミュレーションし、時間帯ごとにパターン化している。「パンデミックと計画停電はベースが機能しなくなる点で根は同じだった」(筧部長)。
ヤマトは阪神淡路大震災の経験を踏まえ、2000年に「危機管理マニュアル」を作成しました。地震や大雨などいくつかのリスクに備えて、事前に準備すべき事項や心構え、復旧の優先順位などを定めました。2007年には、今後30年以内に発生する確率が87%といわれる東海地震に備えて「本社地震対策マニュアル」を策定しました。これは本社が被災するケースを想定したBCPで、地震発生後に、時間軸に沿って各部門がどういう手順で対処すべきかや 本社機能を支社に移す手順などを規定しています。
パンデミックの危険性が叫ばれ始めた2009年頃、ヤマトで「既存のBCPではパンデミックに対処できない」との危機感が高まりました。パンデミックでベー ス勤務者や配達員の大半が出勤できないとなれば、本社だけでなくベースも機能しなくなることが予想できたからです。だからこそ、複数のベースが機能しないケースを想定して、BCPを整備しました。 つづく
コメントする