このシリーズは右のカテゴリー「和歌」に格納されています。
正岡子規の「歌よみに与ふる書」を現代語訳しています。今日から「五(いつ)たび歌よみに与ふる書」です。
正岡子規の「歌よみに与ふる書」を現代語訳しています。今日から「五(いつ)たび歌よみに与ふる書」です。
「心あてに 見し白雲は 麓にて 思はぬ空に 晴るる不尽(ふじ)の嶺(ね)」
という歌は、春海の作である。これは不尽の裾より見上げた時の即興の歌であり、自分も実際にこのように感じたことがあるので、面白い歌だと一時は思ったが、今見れば、ひどい歌である。第一、麓という語はどうだろうか。心あてに見し処は、とてもよい表現なのだが、それを麓という言葉を使って台無しにしている。第二に、麓といってしまったので、ただ心あてに見た雲は上にあるとばかりに言わなければならなくなっている。第三に、不尽の高く盛んな様子を詠むにしては、あまりにも力が足りない。この歌は、姿が弱く、到底、不尽を語る資格はない。几薫(きとうい)という人間の歌に、「晴るる日や雲を貫く雪の不尽」という歌がある。この歌の方が、不尽への趣は遥かによい」では、拙首です。
詠むたびに 学べば学ぶ これほどに 歌の深さと 正しさを知る
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