空蝉

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 空蝉は「うつせみ」と呼びます。
 いろいろな意味があります。この世に生きている人間をいうこともあります。「現人(うつしおみ)」が訛って空蝉となりました。蝉の抜け殻という意味もあります。

 でも、なんといっても、源氏物語に出て来る空蝉ですよね。

空蝉の 身をかへてける 木のもとに なほ人がらの なつかしきかな

空蝉の 羽におく露の 木がくれて しのびしのびに ぬるる袖かな

 光源氏は、空蝉という女性をくどこうとします。でも、空蝉は光源氏にたいして、つれないあしらいをします(どうしようかなあとは悩んでいますが)。こんなことではプレイボーイ光源氏の名折れです。光源氏は、ついに空蝉の住んでいる家に忍び込んでいきました(ある貴族の家)。そこでは、空蝉と貴族の娘の軒端荻(のきばのおぎ)が碁を打っていました。光源氏は「う~ん、やはり空蝉は魅力的だ」と思います(あまり美人ではなかったのですが立ち振る舞いが素晴らしかった)。

 さて、夜這いです。空蝉と軒端荻は一緒の部屋で寝ています。光源氏の訪れを察した空蝉は、薄衣一枚を脱ぎ捨て逃げ去りました。そこにやってきた光源氏は、その薄衣から、寝ている人が空蝉だと思って、間違えて、軒端荻を抱いてしまいます。

 明石屋さんまの歌「♪目覚めた朝に青ざめた♪」ですね(笑)。

 光源氏はその薄衣を空蝉の代わりに持ち帰りました。光源氏は、女の抜け殻のような衣にことよせ、空蝉に歌を送ります。空蝉も光源氏の愛を受けられない己の境遇を嘆きます。

 源氏物語は、ただの小説ではありません。その時代背景を知り、光源氏の生き様を見ることによって、日本人の思想形成過程を知ることが出来ます(これはまたいずれ)。って、私も最近やっと続けて読めるようになりましたから偉そうに言うことはできませんが。でも、読んでいて、そう感じます。日本人とは何か。ぜひ、源氏物語をお読みください。と言っても、長いし、歴史背景がわかっていないと理解不能ないことが多いので、最後まで読む人は少ないようです。私が読み切ったら「どの本よりもわかりやすい源氏物語」に挑戦してみますね。 

薄衣が 抜け殻のよう 空蝉は 源氏の愛を するりと抜ける

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このページは、宝徳 健が2012年7月11日 06:28に書いたブログ記事です。

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