受益権がほしくないとき①(民事信託)

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 相続(民法)と信託(信託法)の違いを見ていきましょう。
A「父が亡くなり、株式を相続することになりました。相続人は、私と弟です。でも、遺産分割協議が二人の間で中々合意に至らず、父が亡くなってから3年後にようやく遺産分割協議が成立し、株式は私が相続することになりました。この場合いつの時点に遡って自分のものと判断すればいいのですか?」

私「民法上は、遺産分割の効果は、相続発生時に遡ります。だから、この株式は、相続発生時点に遡ってAさんが相続したことになります」

A「配当収入がそれまでにあったのですが、遺産分割協議が成立するまで、その配当収入は、私と弟の二人で分けていました。株式の所有権が相続発生時点になるのなら、相続発生時点から遺産分割協議成立までの配当収入は私のものになるはずです。弟に請求してもいいですよね?」

私「これはそうなりません。遺産分割協議が成立するまでの配当収入はこの場合、半分半分です。配当収入は遺産とは別の財産と考えられるからです。だから、遺産分割協議が成立しても、相続発生時点に遡ることはありません」

A「そうなんですか? 実は、もうひとつ相談があるのですが」
私「はい」

A「実は私が保有している賃貸不動産は、信託にしていて、『私が死んだら長男を受益者にする』
と定めてあるのです。私が死んだとき、長男が受益権を放棄しないかと心配です。受益権の放棄はできるのですか?」

つづく

※注意
上記の株式の相続の際、遺産分割協議が成立するまでは、AさんとAさんの弟さん、双方に議決権が生じます。これが株式の相続の怖さです。

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このページは、宝徳 健が2012年7月28日 00:41に書いたブログ記事です。

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