信託の倒産隔離機能 その1

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 信託とは、人を信じて財産を託す仕組みの事です。「信認」と「財産」からなっています。そのうち、信託の義務的側面に支えられている特長が柔軟性で、信託の財産的側面に支えられているのが倒産隔離機能です。
 一定の目的をもって財産を管理したり処分したりすることを他人に頼む方法は、信託以外にもあります。

 たとえば、A社が複数のテナントに賃貸しているオフィスビルの管理を他人に頼む方法として、信託会社B社に信託することができますが、一方で、不動産管理会社C社にオフィスビルの管理を委任することもできます。信託の場合は、A社からB社に「信託による所有権の移転」が生じます。登記簿にも掲載されます。でも、後者の場合、所有権はA社に止まります。

 では、ここでA社が倒産したときはどうなるでしょうか。

 信託の場合(信託契約の内容にもよりますが)、必ずしも信託が終了するとは限りません。信託が終了しなければ、オフィスビルはB社の所有なので、A社が倒産しても影響を受けませんし、テナントの敷金返還請求権が倒産手続きを通じて減額されることはありません。A社に帰属する受益権のみがA社の倒産手続きに服する苦とになります。

 これに対して、後者の場合は、オフィスビルはA社の所有なので倒産の影響をこうむることになります。

 ただし詐害行為には注意です。信託は非常に自由度の高い財産分別機能を持ちます。考えようによっては何でもできてしまいます。ただひとつ、詐害行為だけが留意する点です。

 では、抵当権について次回考えてみましょう。

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このページは、宝徳 健が2012年9月29日 01:49に書いたブログ記事です。

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