どの本よりわかりやすい源氏物語 超初級篇

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 このシリーズは「どの本よりわかりやすい源氏物語」に格納されています。

 源氏物語を読む機会は普段なかなかありませんし、いざ読み始めると、人の名前がたくさん出てきて、頭の中が混乱してしまい、途中であきらめる人がたくさんいます。 ということで、このシリーズを書き始めました。千年もの前に、女性が世界で最も美しい小説を書きました。日本人なら、その内容ぐらい知っておきましょう。 いくら英語が話せても、日本のことを正しく語れない人間は、いったい何人なのでしょうか?

 さて、政敵右大臣の六番目の娘(六の君)である朧月夜と光源氏が、ある夜 同衾していたところに、右大臣が来ました。右大臣は、何気なく、娘の閨(ねや)を除いたら、なんとそこに光源氏が一緒に寝ているではありませんか・・・・!!!! じゃじゃじゃ~ん。
 右大臣は怒りに、我を忘れてしまいます。あちこしに言いふらし、そして、ついに、新しい帝にも言いつけました。大人げないことです。朧月夜は帝に寵愛を受けていましたから、たまったものではありません。

 さて、ここで、一つだけ覚えていただかなくてはならない女性が出てきます。源氏物語唯一の悪役女です。それは、現帝の母親である太后(おおきさき)です。もちろん、前帝の女御の一人ですが、光源氏の母親である桐壺に恐ろしい嫉妬の心をもやし、桐壺を死においやった人間です。もちろん、桐壺の子供である光源氏のことも大嫌いです。

 ということなので、この事件を機会に、現帝に、あることないことを言って、帝と光源氏との関係を引き裂き、そして、光源氏を失脚させようとしたのです。

 さあ、宮中での立場が益々悪くなった光源氏です。もう、誰も、光源氏に近づこうとする人間はいません。さびしくなった光源氏は、ある恋人の家を訪ねるためにお忍びで出かけます。途中、昔の恋人の家の前を通ったので、和歌を送ります。でも、光源氏の窮状に巻き込まれたくない、昔の恋人は無視をします。

 さて、恋人の家に着きました。花橘が香り、ほととぎすが訪れ、二十日の月の差し昇る夜でした。

 橘の 香をなつかしみ 時鳥(ほととぎす) 花散里(はなちるさと)を たづねてぞ訪(と)ふ

 「橘の香のように昔懐かしいあなたを訪ねてこの家に来ましたよ」と光源氏は詠みました。その女性は、長い間訪れなかったにもかかわらず、また、今の光源氏の立場も気にせず、心変わりしていません。いつもしっとりとして優しい。この女性を花散里といいます。

 花散里に、光源氏の心は自然と慰められたのでした。

 でも、光源氏を取り巻く状況は益々悪化していきます。

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このページは、宝徳 健が2012年11月14日 08:06に書いたブログ記事です。

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