どの本よりわかりやすい源氏物語 超初級篇

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 寛弘元年(1004年)、皇女に読ませる物語を執筆するように命ぜられた紫式部は、祈念のため石山寺に参詣しました。夜更けに本堂から琵琶湖を眺めると、折しもその晩は中秋の名月です。湖面を照らす十五夜の月を観ているうちに、「源氏物語」の構想が思い浮かびました。料紙を持っていなかった紫式部は、慌ててその場に会った大般若経の裏に「今宵は十五夜なりけりと思し出て(おぼしいでて)・・・・」と書き綴りました。こうして生まれたのが、源氏物語の「須磨」「明石」と言われています。

 今日から蓬生(よもぎう)です。蓬生って? それを説明する前に、もう一度登場人物を整理します。登場人物さえ整理できれば源氏物語はとても読みやすい。この超初級篇では、登場人物は原作の十分の一以下に抑えています。

桐壺:光源氏の生母 光源氏を産んだ後亡くなる
藤壷:前々帝の寵愛を受けた女性 桐壺にそっくりなので光る源氏が思いを寄せ、光源氏の子を産みます 現帝の母です
葵:左大臣の娘 光源氏の正妻
頭(とう)の中将:左大臣の息子 葵とは兄弟 光源氏の親友
空蝉(うつせみ):不思議な魅力を持った女性
夕顔:光源氏の心をやすらぎに導いた女性。女の嫉妬によって亡くなってしまいます。
六畳の御息所(みやすどころ):光源氏の恋人。前皇太子夫人。気位が高いため光源氏は・・・。
紫:まだ子供。藤壺の姪にあたる
末摘花:鼻が長くて鼻の先が赤い女性
右大臣の六の君:右大臣の六番目の娘 入内して朧月夜となる
明石の入道:光源氏が明石に流されていたころ、世話をしてくれた人
明石の君:明石の入道の娘 光源氏の子を産む
太后(おおきさき):源氏物語唯一の悪女 前帝の母
 蓬生とは、「蓬生の宿」という使われ方をします。蓬が生い茂った様を「蓬生」と言い、家が荒れ果てた様子を示します。自分の家を謙遜して言うこともあります。

 日本語とは、なんと豊かで、なんと深く、なんと非まじめで、なんと素敵な言語なのでしょうか。それを戦後の私たちは破壊しつくしています。

 さて、光源氏が須磨と明石に失意の日々を送っていたころ、都に残された光源氏の彼女たちには、苦労をした人もいました。紫の上には、光源氏はきちんとしていったのでよかったのですが、末摘花などの窮乏は殊にはなはだしいものでした。

 光源氏に口説かれた後、光源氏が京にいる頃はよかったのですが、須磨に行った後は、光源氏の庇護がなくなったので、零落はひとしおでした。仕える人たちも次々と去っていきました。そして、家は荒れ果てました。まさに、蓬生の宿です。

 末摘花の叔母さん(母の妹)にいやな奴がいました。末摘花が零落しているのを喜び、自分の侍女にしようとします。末摘花は拒みます。それでも、しつこく誘う叔母は、今後は、夫が大宰府に栄転していくときに、無理に末摘花を連れて行こうとします。末摘花はそれも拒否します。怒った叔母は、末摘花の乳母も侍女もすべて引き連れて行ってしまいます。末摘花は独りぼっちになってしまいました。末摘花の運命やいかに。つづく

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このページは、宝徳 健が2012年12月 6日 15:04に書いたブログ記事です。

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