このシリーズは右のカテゴリー「どの本よりわかりやすい源氏物語」に格納されています。
「薄雲」の章を書いています。
藤壺が病に倒れてしまいました。
「薄雲」の章を書いています。
藤壺が病に倒れてしまいました。
食欲はまったくなく、果物さえも口にできません。藤壺は三十七歳ですが、その美しさには少しの衰えもありません。その年は、藤壺の厄年なので、藤壺はひそかに、今年中にこの世を去るのかもしれないと思いました。
息子である帝が見舞いに来られました。藤壺は、母として、帝の出生の秘密を告げることができません。
やがて馳せ参じた光源氏に看取られながら、藤壺は、万感を籠めて「本当はあなたの息子である帝の貢献を頼む」と言って、灯が消えるように、はかなく生涯を閉じました。
二十四年慕い続けてきた高貴な女性の死に、光源氏の心は無残に打ちひしがれるのでした。
入日さす 峰にたなびく 薄雲は もの思ふ袖に 色やまたがへる
「夕日さす峰にたなびく薄雲は、自分の喪服の袖と同じ色に見える」と光源氏は詠みました。なので、この章を「薄雲」と言います。
源氏物語がすごいのは、読んでいると、まるで自分がそこにいるような気になってしまうことです。夕顔や藤壺が亡くなるシーンなどは、光源氏のそばにいて一緒に看取っているような気分になります。涙がボロボロ出てきます。千年前にこんなにすごい女性がいたのですね。
さて、すごい事件が起きます。つづく
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