得意の時

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 佐藤一斎先生の「言志四録」からです。

「得意の時候は、最も当(まさ)に退歩の工夫を著(つ)くべし。一時一事も亦皆亢龍有り」
「物事がうまくいっている時は、一歩退いてうまくいかない時の対応・処置を考えておくべきである。一時的のことであれ、一つの事であれ、高く昇りつめた竜のように栄達を極めると、必ず下り坂・衰退の恐れがあることを知っておくべきである」

 まさに「順境にして悲観し、逆境にて楽観する」ですね。

 お金は、稼ぐよりも使い方の方が難しい。成功も、その途中よりも成ってからどうするかの方が難しい。貞観政要にも「守勢は創業より難し」とあります。

 出光五十年史を読んでいると、出光佐三店主は、会社の業績が良くなると嘆いています。「人が育たない」と。業績が悪くなればなるほど喜びます。「人が育つ」と。すさまじい経営者ですね。

 創業の頃、こんな単純なことがわからず、頂点から奈落の底に一気に落ちました。良い経験と言えばそうなのでしょうが、もう二度としません。

 亢龍というのは、四書五経のひとつ、易経の中にあります。「乾為天(けんいてん)」の龍の物語の中に出てきます。調子に乗った龍が奈落の底に落ちるとういものです。落ちるときが亢龍です。五千年以上も前に、易経を創造した人類に敬意を表します。

良い時も 悪い時にも 同じように する行ひが 我が身たすくる


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このページは、宝徳 健が2013年8月16日 07:15に書いたブログ記事です。

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