「僕、糠漬けです」
「最近、スーパーやコンビニで売っている漬物は、漬物とは呼びません」
「そうそう、ひどいものよね」「あっ、梅干しちゃん、おはよう」
「おはよう。梅干しだってひどいものよ。だって、賞味期限があるのよ。梅干しは五十年経っても百年経っても食べられるんだから。あんなものを梅干しと呼んでほしくはないわ」
「おっ、梅干しちゃん、今日は、最初から飛ばすね~」
「だって・・・」
「本来は、漬物=発酵食品なんだよね。でも、近頃は化学調味料や保存料が入っていて、もう、味として食べられたものじゃないね」
「糠(ぬか)もひどいものなのでしょ?」
「そうそう」
「きちんと作ったら、糠漬けは、健康食品になるんだよ。ビタミンE、ギャバ、鉄、マグネシウム、ポリフェノール、フェルラ酸、食物繊維等のミネラルや栄養素がぎっちりと詰まっているんだ。また、植物性乳酸菌による発酵なので、従来、野菜には少ないビタミンB群を作り出すんだ。もちろん、生きた植物性乳酸菌を同時に摂取できるしね。我が國が誇る、大切な食文化であり、優秀な健康食品なんだ」
「糠漬け君、すてき。今度は梅干しについても教えて」
「うん、いいよ!」
「おい、糠漬け!」
「あっ、味噌漬け君と、塩漬け君」
「おまえ、何を抜け駆けしているんだ。梅干しちゃんに手を出すな」
「何を言ってるんだ。まだ、そんな関係じゃないよ」
「まだだって!やっぱりそうか。お前、梅干しちゃんを狙っているな。やっちまえ」
「何を!!!」
「しーらない。帰ろっと」
糠漬けを かじりながらも 思ひ出す 我が家にあった 糠床の事
コメントする