蟋蟀在戸

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 今日は、七十二候 五十一候 寒露 末候 「蟋蟀在戸」の最終日です。

 「きりぎりすとにあり」と読みます。
 キリギリスは戸口の傍まで来て、哀愁を漂わせながら「ギーッチョン、ギーッチョン」と鳴くシーンはあまり観られなくなりましたね。秋の虫の声を聞くことが出来なくなって、もう長いことになります。残念です。自然と共に生きてきた我が民族は、今、史上最悪の社会を作ってしまいました。「情緒」というものが、人間を形成していく中でどれほど大切な事かを考えなくなってしまいました。

 せめて七十二候だけでも考えながら生きていきましょう。

 子どもの頃、アリとキリギリスの話を何度も聞きました。これって、欧州では、アリではなく蝉なんですって。

 冬の寒い日に、蝉がアリの家の戸を叩きました。「何か食べ物を分けてください」というと、おじいさんアリが「お前さん、夏の間何をしていたんだい?」「音楽を演奏して、いろいろな人に聞いてもらいました。みんなの心を幸せにしました」「じゃあ、そいつらから食べ物をもらったらいい」「お願いします。飢え死にをします。夏になったら返しますから」「わしたちに、貸し借りはないんだよ」

 と蝉は追い返されてしまいます。

 蝉は途方に暮れてしまいます。その時、神様が現われました。そして、貸し借り無しだよといって、天国に連れて行ってくれました。

 その後、おじいさんアリは、亡くなりました。神様に聞きました。「私は天国に行けますか?」「お前は頼ってきた者をむげに追い返した。だめだ」という話です。

 だいたい日本人は、やさしいから欧州の童話などを子供向けに、ためになるようにリメイクします。でも、本当の童話などを読むと、人間の残酷さを思いっきり表現しています。グリム童話などすごいですね。暴力、セックス・・・・。これが人間の本性なのだということを教えるのが欧州の話なのでしょう。

 ともあれ、今は、秋。短い実りを楽しみましょう。

宵の空に 浮かぶは 白いお月様 眺めながらも 見送りながらも



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このページは、宝徳 健が2013年10月22日 06:37に書いたブログ記事です。

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