金盞香

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 今日から七十二候 五十七候 立冬 末候 金盞香です。「きんせんかさく」「きんせんこうばし」と読みます。
 金盞は、水仙の異名です。

 きれいなきれいな水仙の花ですが、葉や根には毒を持っています。

 水仙の学名は「ナルキッソス」です。

 ギリシャ神話から来ています。ナルシストの語源となる人物です。いくつか逸話があります。

 アフロディーテという女神をご存知ですか? 英語読みするとヴィーナスです。 我が國は「神」というととても神々しいものと思ってしまいますが、ギリシャ神話に出て來る神様は、笑ってしまうぐらい人間的です。人間よりも人間の欲望が強い存在が神様です。

 ナルキッソスは、そのアフロディーテからの贈り物を或時侮辱してしまいます。怒ったアフロディーテはナルキッソスのことが好きな人が彼を所有することを、彼自身が拒んでしまうようにしてしまいます。つまり、彼は、誰から愛されても、その人の物にはならないということです。

 なので、ナルキッソスを愛した人たちは、ナルキッソスが自分のものにならないので、自殺してしまいます。

 森の妖精エーコーも彼に恋をしました。でも、エーコーには障害があったのです。少し前、ゼウスがヘラの監視から逃れるのを歌をおしゃべりでエーコーは助けました。そのためエーコーはヘラの怒りをかいます。ヘラはエーコーを「自分では口をきけず、他人の言葉を繰り返すことのみ」の状態にしてしまいました。

 エーコーはナルキッソスと会ってもナルキッソスの言葉を繰り返すことしかできません。自分の言葉がオウム返しのようにしか返ってこないナルキッソスは「退屈だ」とエーコーを見捨ててしまいます。エーコーは悲しみの余り姿を失い、声だけが残って「木霊」になりました。
 
 ここでもう一人登場人物。髪に対する侮辱を罰する神にエメシスという神がいます。エメシスは、他人を愛せないナルキッソスを自分だけを愛するようにしてしまいます。

 ある日、ナルキッソスが水面を見ると、中に美しい少年がいました。もちろんナルキッソスが写っています。ナルキッソスは水面に映った自分に恋をします。時分に恋をしたナルキッソスはその場から離れることが出来ず、やせ細って死んだとか、水面に写った自分に口づけをしようとして転落して水死したとか言われています。

 ナルキッソスが死んだ後、そこに水仙が咲いたとのことです。水仙に行きつくまで長くてすみません。

 古代の人たちの創造力・想像力には脱帽です。私は、今のこの便利な世の中より、不便でも古代の人たちの「脳」力が欲しい。

水仙の 美しさみて 創られる いにしへからの その物語が

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このページは、宝徳 健が2013年11月17日 05:28に書いたブログ記事です。

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