今日の話は面白いですよ~。ちょっと長くなりますが聞いてください。まずは御製から。
ご存知ですよね? 持統天皇です。
中学だか高校だかのときに、この歌に初めて接しました。もちろん和歌のことなど何も知らない頃です。でも、「なんて美しい響きなんだろう」と思ったことを覚えています。そうなんです、この歌には様々な神秘的なことが込められているのです。その神秘的なことに無意識に反応したのでしょう。
春過ぎて 夏來(き)にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山
ご存知ですよね? 持統天皇です。
中学だか高校だかのときに、この歌に初めて接しました。もちろん和歌のことなど何も知らない頃です。でも、「なんて美しい響きなんだろう」と思ったことを覚えています。そうなんです、この歌には様々な神秘的なことが込められているのです。その神秘的なことに無意識に反応したのでしょう。
まずは、基礎知識を二つ。
【持統天皇】
天地天皇の皇女です。壬申の乱で勝利した天智天皇の弟 天武天皇(叔父さん)の后となり、天武天皇没後、自身が即位して史上四人目の女性天皇となりました。
【大和三山】
この歌には直接出てきませんが、大和三山のことを知っているとこの歌への理解が深まります。「香久山」「畝傍山(うねびやま)」「耳成山」のことを大和三山と云います。
香具山は美しき畝傍山を愛し、耳成山と恋敵になりました。畝傍山は香具山と耳成山のどちらを愛せばよいかと悩みます。出雲の阿菩大神が印南國原(播磨)まで三人の仲裁に來ました。そのことを詠っています。中大兄皇子は白村江の戦いで敗れ、支那への脅威から都を大津に遷しました。でも、倭の事を愛していたのでしょうね。
大和三山は美しい。
万葉集が編まれた奈良時代は、まだひらがなが存在していませんでした。すべて漢字だけで表記されていました。こうした漢字の使い方を万葉仮名と云います。この御製を万葉仮名で書くと「春過而夏來良之白妙能衣乾有天之香久山」となります。これをそのまま読むと「春過ぎて 夏來たるらし 白妙の 衣ほしたり 天の香具山」となります。
でも、新古今和歌集や百人一首は「夏來にけらし」「衣ほすてふ」なっていますと。まあ、それぞれですが、私はこちらの方が好きです。それに・・・。
「衣ほすてふ」ですが、「衣ほしたり」だと、ただ、目の前の情景を詠んでいるだけです。「衣ほすてふ」にすると伝聞形となります。つまり、目の前の情景とある伝説を想起しています。これが面白い。
香具山伝説の一つに、甘橿明神(あまかしみょうじん)なる神様がこの山に住んでいて、神水に浸した白い衣を干すことによって人間の嘘を見抜くというものがあります。
ねっ、ねっ、ねっ。素敵でしょう? そんな伝説がこの御製の籠められているとしたら。この御製に詠まれた「白妙の衣」は、その儀式に使われたことになります。
持統天皇は、そう思ってこの歌を詠まれたのかなあ。今となっては調べようもありませんが、こういう想像をするのって楽しいですねえ。
我が國は素敵ですね。
【持統天皇】
天地天皇の皇女です。壬申の乱で勝利した天智天皇の弟 天武天皇(叔父さん)の后となり、天武天皇没後、自身が即位して史上四人目の女性天皇となりました。
【大和三山】
この歌には直接出てきませんが、大和三山のことを知っているとこの歌への理解が深まります。「香久山」「畝傍山(うねびやま)」「耳成山」のことを大和三山と云います。
中大兄皇子(後の天智天皇)が万葉集で次のような歌を詠っています。
中大兄 近江の宮に天の下知らしめす天皇が三山の歌
香具山は、畝傍を愛しと 耳成と 相争ひき 神代より かくにあるらし いにしへも しかにあれこれ うつせみも 妻を争ふらしきこれに対する反歌です。
香具山と 耳成山と 闘ひし時 立ちて身に來し 印南國原(いなみくにはら)
香具山は美しき畝傍山を愛し、耳成山と恋敵になりました。畝傍山は香具山と耳成山のどちらを愛せばよいかと悩みます。出雲の阿菩大神が印南國原(播磨)まで三人の仲裁に來ました。そのことを詠っています。中大兄皇子は白村江の戦いで敗れ、支那への脅威から都を大津に遷しました。でも、倭の事を愛していたのでしょうね。
大和三山は美しい。
香久山
畝傍山
耳成山
万葉集が編まれた奈良時代は、まだひらがなが存在していませんでした。すべて漢字だけで表記されていました。こうした漢字の使い方を万葉仮名と云います。この御製を万葉仮名で書くと「春過而夏來良之白妙能衣乾有天之香久山」となります。これをそのまま読むと「春過ぎて 夏來たるらし 白妙の 衣ほしたり 天の香具山」となります。
でも、新古今和歌集や百人一首は「夏來にけらし」「衣ほすてふ」なっていますと。まあ、それぞれですが、私はこちらの方が好きです。それに・・・。
「衣ほすてふ」ですが、「衣ほしたり」だと、ただ、目の前の情景を詠んでいるだけです。「衣ほすてふ」にすると伝聞形となります。つまり、目の前の情景とある伝説を想起しています。これが面白い。
天の香具山は、天から地上に降ってきたとか、天照大御神が岩戸に隠れた地だとか、多くの伝説があります。天岩戸神社もあります。その境内では、毎年七本の新しい竹が育つ代わりに、古い竹が七本枯れるという不思議な現象もあるそうです。なので大和三山の中でも特に神聖視されてきました。「天の」という名前がつくのもそうです。
香具山伝説の一つに、甘橿明神(あまかしみょうじん)なる神様がこの山に住んでいて、神水に浸した白い衣を干すことによって人間の嘘を見抜くというものがあります。
ねっ、ねっ、ねっ。素敵でしょう? そんな伝説がこの御製の籠められているとしたら。この御製に詠まれた「白妙の衣」は、その儀式に使われたことになります。
持統天皇は、そう思ってこの歌を詠まれたのかなあ。今となっては調べようもありませんが、こういう想像をするのって楽しいですねえ。
我が國は素敵ですね。
織り込まれた 伝わる神に 思ひ込め 後の人々 ロマンに浸る
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