百人一首 9

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 シリーズ九回目です。私の心の恋人の一人である小野小町の歌です。この歌も有名すぎて、解説が不要なのかもしれません。

花の色は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに


 百人一首に搭乗する歌人には、「六歌仙のひとり」「三十六歌仙のひとり」といった人が多いのですが、その両方に該当するのは三人しかいません。小野小町、喜撰法師、僧正遍昭です。

 また、小野小町は、ご存知世界三大美人の一人です。小野小町、クレオパトラ、楊貴妃です。
 
 でも、どんなに美しい女性でも、その美しさを永遠に保つことはできません。

 この歌は、小野小町が、歳を重ねた時に詠んだものです。でも、さすが小野小町です。老いを見事な歌にしています。

 まずは「花」です。平安時代以前は、花と云えば梅を指していたのですが、平安時代になると、「櫻」になります。櫻は、女性の若さや容姿の隠喩にもなっています。

 次に「世にふる」「ながめせしまに」です。この二つは掛詞です。「(雨が)降る」と「(年を)經る」を掛けていますし、「長雨」と「眺め」をかけています。「眺め」は景色の事ではなく、「物思いにふける」という意味です。

 三つ目に「いたづらに」です。これは「はかなく・むなしく・無駄に」という意味ですが、それがどこにかかっているかがポイントです。この言葉は、「移りにけりな」「世にふる」「ながめせしまに」の三か所すべてにかかっています

 ですから、歌の意味は、

「長雨が降っている間に、私が無駄に年月を過ごして、むなしい思いにふけっている間に、桜の花も私の若さも、はかなく色あせてしまった」
 
 です。

 すごいな~。一生のうち、一度でいいからこんな歌を詠んでみたい。

遺された 百人思ひに 込められた 生きる姿が ドラマ織りなす 

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このページは、宝徳 健が2014年1月20日 01:11に書いたブログ記事です。

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