前話より続く。こうして父との禁断の恋をしたミュラルが化けた樹が生んだ少年が、ギリシャ神話の中で一番美しい少年アドニスです。ピュグマリオン以来の美 貌のせいで、大きくなるにしたがってさらに美しくなりました。ばら色の肌、風にゆらめく金髪、瞳は泉の青さを秘めて澄み、均整のとれた肢体には、ひとつの 贅肉もない。アドニスといえば美少年、美少年といえばアドニス。 この少年の美しさにいちはやく目を留めたのが、美の女神アフロディテ(ローマ神話のビーナス)です。アフロディテは、たちまち恋のとりこになりまし た。でも、これには好こし訳が。実はアフロディテの息子のエロス(ローマ神話のキューピット)が関係しているのです。エロスの持っている矢は、誰かが異性 を見つめているときに、その人にその矢を射ると、その人は、見つめている人に恋をするのです。今回も、母親のアフロディテがアドニスを見ているときに、 誤って母親の乳房に矢を射ってしまいました。
でも、この恋は、アフロディテには報われない恋でした。なぜなら、アドニスはあまりにも若すぎて、アフロディテの愛を受け入れることができなかっ たのです。アドニスは、もっぱら狩りに興味がありました。アフロディテは、「あんな恐ろしい猛獣と戦って、万一怪我でもしたら」と心配でなりません。
アドニスに「決して無茶をしてはだめよ。何かあったらすぐに私を呼ぶのよ」とアドニスに伝えています。
ある日、アドニスが、狩りにでかけ、猪と格闘して、死んでしまいました。アフロディテの名前を呼ぶ暇もなかったのです。アフロテディテは「ああ、だれか、お願い、この人の命を返して」
そして、冥界の王のところに行きました。「どうかこの人を生き返らせてください。まだ、こんなに若いのに」 王「それはならぬ。しかし、せめて花の姿に託して、一年のうちに数ヶ月は地上によみがえらせてあげよう」。
ということで、アドニスの血がにじんだ大地の中から細い草の芽が萌たち、すくすくと茎を伸ばし、やがて真紅の花を咲かせました。花は、アドニスその人の
ように可憐であったが、命は短く、風(アネモネ)の息に吹かれてたちまち散ってしまいます。そのはかない散りざまにちなんで、風(アネモネ)の花、つま
り、アネモネと名づけられました。
アフロディテは、アドニスの短い命をはかなみ、花の行方を追いながら涙ぐみまし。其の涙も花となり、バラとなりました。
ところで、アドニスの命を奪った猪は、なんと、狩猟の女神、アルテミスだったのです。アルテミスとアフロディテは仲が悪かったのです。
ここまでが以前書いたブログの記事です。
七十二候 大寒 次候 「水沢腹堅(みずさわあつくかたし)」の頃咲くのが福寿草です。晩秋に芽を出して冬に花が咲きます。春一番、新年を祝う花としてその名前が付けられました。
この福寿草の學名が「アネモネ(またはアドニス)」なのです。
えっ? どうでもいいことを長々と説明するなですって(笑)? いいじゃないですか~。古代人の情緒を知っても・・・。
福寿草はそのかわいらしい花と反して、根茎には強い毒性があります。口にすると場合によっては死ぬこともあります。う~ん、きれいなものには毒があるんだ~。
コメントする