百人一首 十七

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 伊勢物語の主人公在原業平朝臣です。まだざっとしか読んだことがない伊勢物語です。我が國の古典小説をゆっくり読み込むのも私の夢の一つです。

 伊勢物語の中に、主人公が高貴な女性との駆け落ちを試みて失敗するというとことがあります。この主人公が在原業平で、モデルとなった女性が、藤原高子です。藤原高子は、後の清和天皇の后です。二条の后とも呼ばれています。前に紹介した百人一首の作者の一人である陽成院の母です。

 なんと、この歌は、高子が后になった後に、業平に歌を求め、業平がそれに応えたというものです。

ちはやぶる 神代(かみよ)も聞かず 龍田川 から紅(くれなゐ)に 水くくるとは
「不思議なことが多かったという神代にも、こんな光景はなかったであろう。龍田川が水を紅色に染められるなんて」

 龍田川は奈良にある紅葉の名所です。龍田川の水面を、紅葉の葉が真っ赤に埋め尽くして流れていくことを詠んでいます。

 こういう歌は現代人には詠めませんね。

 実際には業平が二条の后が所有する屏風にそえるための歌を頼まれました。その屏風の絵が龍田川だったのです。先に作成された屏風に後から添えられた歌を「屏風歌」と云います。

 それにしても、昔の恋人から歌を頼まれました。それも、女性としては最高の地位の后から。思う気持ち、思われる気持ちを双方持ちながら、ギリギリのところで禁断の愛を交換する。紅とは、業平が心の中で悲しくて血を流していることを詠んだのかもしれませんね。

思はれて 思いを寄せて 偲びながら 歌に託した 愛のやりとり

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このページは、宝徳 健が2014年2月 6日 05:27に書いたブログ記事です。

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