百人壹首 參十壹

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 小学校の頃、我が國最初の征夷大将軍 坂上田村麻呂を習ひました。今回の歌の作者は、その坂上田村麻呂のひ孫です。彼も參十六歌仙の壹人です。坂上是則です。

朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに 吉野の里に 降れる白雪
「夜がほのぼのと明けてゆくころ、有明の月で明るいのかと思ひ間違うほどに、吉野の里に降り積もった雪であることよ」

 「朝ぼらけ」とは、ほのぼのと夜が明ける時間帯です。有明の月は、昨日も書きましたが、明け方のつきです。明るいので外を見れば、まぶしい銀世界が一面に広がっています。当然、電気はありませんから、雪明りはとてもまぶしかったのでしょう。雪景色を月明かりと思ったと見立てた歌です。見事です。私は、命を閉じるまでこんな歌を詠めるようになるのだろうか。「月の光ではなく、純白の雪のせいだったんか!」という驚きが、「白雪」で終える体言止めで表現されています。素晴らしい。

 先日、IKさんと夕方車に乗っていると、月が見事でした。でも、こんな素晴らしい歌は出てきませんでした。

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このページは、宝徳 健が2014年3月19日 15:25に書いたブログ記事です。

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