百人一首 參十弐

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山がはに 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり
「山の間を流れる川に、風が掛けた「しがらみ(柵)」は、流れ切らないで溜まっている紅葉だったよ」

 作者は、春道列樹(はるみちのつらき)です。

 めずらしい苗字です。祖先が大和の春道天王社にゆかりがあったそうです。今の和邇下神社です。



 「山がは」とは、山の中を流れる谷川のことです。「しがらみ」は、杭を立てて竹などを横に編み、川をせき止めるための仕掛け(柵)です。あへぬは、「完全に~しきれない」の意味で、流れもあへぬというと、流れようとしても流れられないと云ふことです。

 川の淵に紅葉が流れずに溜まってゐるやうすを柵に見立てて、風がわざとやったんだと擬人法を使ってゐます。川を染めている紅葉の、錦を織った絨毯のような美しさを表現したことも、評価を高めたポイントです。

 この歌は古今集におさめられてゐます。詞書が「志賀の山越えて詠める」とあります。京都北白川から、比叡山と如意ケ岳を越え、近江の志賀の里(大津市)に向かう途中なのでしょう。その後どこに行ったのかなあ?

 こういうことを考えながら旅をするととっても素敵ですね。あ~、本をいっぱい持って旅をしたいな~。

大好きな 本を抱えて ゆっくりと 時にひたりて テクテク歩く

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このページは、宝徳 健が2014年3月21日 07:18に書いたブログ記事です。

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