百人一首 五十五

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 この歌は素晴らしいですね。

 拾遺集にある歌です。拾遺集の詞書には「大覺寺に人あまたまかりたりけるに、古き滝を詠み侍れける」とあります。そう、歌の舞台は、京都嵐山の大覺寺です。JR山陰本線嵯峨野駅で降りて北へ行くと大沢池があります。そのほとりです。ここは、かつての嵯峨上皇の離宮です。この歌が詠まれた頃は、すでに滝は枯れてゐました。昔の滝を偲んで詠つたものですが、この作者が詠つたために、かえつてこの滝が「名古曽(なこそ)の滝」と呼ばれ有名になりました。

大沢の池

 大沢池です。

名古曽瀧址

 名古曽の滝跡です。

藤原公任についての駒札

 そう、これた今回の歌です。

滝の音は 絶えて久しく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞へけれ

「滝の流れる音は、聞こえなくなつて、もうどのぐらいになるのだらうか。けれども、その名声だけは今でも傳はつていて人々が語り繼いでゐるものだ」

 作者は「藤原公任(ふじわらのきんとう)」です。公任が「自分もこうありたい(つまり、自分が死んでも名だけは語り繼がれるやうな素晴らしいことをしたい」と思つてゐる氣持ちが、現はれてゐます。

 いいな~。こんな歌を詠めるやうになりたい。

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このページは、宝徳 健が2014年5月18日 04:45に書いたブログ記事です。

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