百人一首 五十九

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やすらはで 寝なましものを 小夜更けて かたぶくまでの 月を見しかな
 赤染衛門の歌です。一条天皇の后・中宮彰子(ちゅうぐうしょうし)に仕へてゐました。

「いらっしゃらないと知っていたら、ためらはずに寝てしまつたのに、待つてゐたら夜が更けて、西の空に傾く月を見たことです」

 來るといふ男の言葉を楽しみに待ち明かしたが、つひに男は來ませんでした。約束をすつぽかした男への恨みごとをつらつら詠んでゐます。まんじりともせず、ただ月を眺めている女。月は無情にも西へ西へと傾いていきます。そして、もう今日は來ないんだといふ悲しい革新に達した女は、月に向かつて深い吐息をもらす。

 和歌はすごいですね。千年以上も前の情景が今によみがへります。

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このページは、宝徳 健が2014年5月30日 06:33に書いたブログ記事です。

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